名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

死の迷路(フィリップ・K・ディック)

死の迷路 (創元推理文庫)

死の迷路 (創元推理文庫)

目的も知らされず、未開の惑星デルマク・Oに送り込まれた14人の男女。使命を告げるはずだった通信はメッセージの受信中に途切れ、やがて一人また一人とメンバーが殺されはじめた…。謎めいた建造物が聳え、物質をコピーする生物が俳徊する、この星に閉じ込められたまま、彼らは狂気に蝕まれてゆくのか。ディックがつむぐ、逃げ道なしの悪夢世界。

amazonからの引用である上の作品紹介にとりあえず異を唱えておこう。
『嘘だッ!!』
わたしが読み終えた本のなかでもっともダメさ全開な作品。薦めてくれた心優しい先輩に天罰が下るように仲裁神に祈りを送りたい。MSNメールでも届きますよね?こんなダメ人間どもがダメ人間をする話を書いているだけでゴハンが食べていけるとかホントに信じられない。アンドロ羊面白ぇディックすげぇとか思っちゃってた過去の自分にサヨウナラ。ディックは、明らかに、ダメ人間の筆頭です。普通の人間がこんな大量かつ完成度の高い(低い)ダメ人間を描けるとは到底思えない。小説家なんかには流れ着きたくないなと思わせる作品。これが笑って許せるようになれば大抵のダメ人間には寛大になれるでしょう。Maze of Deathとかちょっとカッコよさげな題名をつければ売れるとでも思っていたのでしょうか。どちらかといえば死の迷路というより迷宮です。ディックおとくいの(?)宗教はなかなか面白いです。解説がはっちゃけてボロクソ書いてるのも笑えます。素晴らしきダメ人間をみたいひとは読むといいでしょう。