経済は「予想外につながり」で動く

ネットワーク理論を経済に応用した本格的な本かと思ったのですが。。。実は本書で記載されているのは、ほんのその触り程度でした。今まで正統派だった合理的経済人を想定したエージェンシーモデルが2008年以降機能しなくなりつつある中で、それまで傍流だった考え方が実は使えるんじゃないかと言ってるだけですね。あまり新しいことも書いてありません。よく見たら原書は2011年ですか。

個人的には金融機関の結びつきをネットワーク理論で構築した場合のリスクなんかを想定していました。リーマン危機以前からそのような金融機関の相関性を考えられないか考えてましたが、なにせ私の数学力ではそれ以降の考えが進まず、ようやくそんな本が現れたと期待していたわけです。経済物理学というものがありましたが、その程度ですらなかったですね。

本書で問題なのは、エージェンシーモデルの説明はページを割いて行っているのに対してネットワーク理論をもとにした経済学がなんたるかをきちんと説明していないことです。なんか周辺をぼんやりと語っているに過ぎず、漠然とわかった気になれるくらいです。ネットワーク時代の新しい経済学のあり方として、ネットワーク理論と持ち出しただけな気がします。勝者全奪の法則ですね。