ココロコネクト ニセランダム / 庵田定夏
「『やろう』って思えるってことは、自分で可能性があると感じているってことだろ。本当に無理なことは、たぶん『やろう』と考えられれなくないか?」
ココロコネクト シリーズ6作目『ココロコネクト ニセランダム』です。
今回は文化研究部に入部した新入生のふたりがメインの話。
入ってきたばかりの新入生を使って文化研究部に揺さぶりをかける『ふうせんかずら』。
太一達が懸念した件が見事にあたってしまう形になります。
新入生ふたりを対比させた展開が上手くて面白かった。
以下はネタバレ気味の感想です。
入部をしたもののどこか斜に構えていた宇和千尋が堕ちていく姿は同情する気にならないくらい酷いものでした。
だけど一致団結した5人の絆に敵うはずもなく、事態はさらに酷い方向に…。
そんな救いようのない彼を救ったのは、今まで傍観者だったもう一人の新入生、円城寺紫乃。
傍観者であることは加害者でもあると知った彼女は、今こそ変わるんだと決意し行動し始めます。
決意を胸に抱いてからの彼女の姿はとてもかっこよかった。
先輩たちに憧れてはいたものの、手に入るはずがないと諦めていたふたりが、見事に変わっていく姿は嬉しかったです。
人が成長する物語ってやっぱり素敵だ。
千尋のあれを許せてしまう、先輩たちは心広すぎるってレベルじゃない。
試練を乗り越え本当の意味での入部を果たした千尋と紫乃。
7人になった文化研究部がこれからどんな青春を描いていくか、次回も楽しみです。