オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

中国の淡水魚その4

タナゴ類です。正直いってかなり難しく後半は自信ありません・・。今回の調査では最低でも10種が採れており、その多様性はとても高いです。各種の生態を研究することが出来たらきっと素敵なことになるでしょう。しかし幼魚を生きたまま見分けることが出来る人はいるのだろうか。

Rhodeus sinensis。九州にいるカゼトゲタナゴにそっくりです。繊細な感じのタナゴですが個体数は多かったです。
追記>とある方からご指摘をいただきまして、この種類の学名はRhodeus fangiが正しいそうです。

Rhodeus lighti。何やら意地の悪そうな顔つきに見えましたがいかがでしょうか。これも個体数が多い。
追記>こちらもとある方からご指摘をいただきまして、この種類の学名はRhodeus sinensisが正しいそうです。重要な文献(Akai & Arai, 1998)を見落としていました。すなわちこれはウエキゼニタナゴそのものですね・・。ご教示いただいたKさん、ありがとうございました。

Rhodeus ocellatus。にっくきタイリクバラタナゴですが、ここでは在来種なのでなんだかほっとします。意外に個体数は少なかったです。

Tanakia himantegus chii。タイワンタナゴの中国亜種です。シリビレのカラーパターンは特徴的ですね。

Acheilognathus gracilis。背鰭条数が極端に少なくて、Acheilognathus属の中ではもっとも区別が容易でした。

Acheilognathus imberbisイチモンジタナゴそっくりでした。ということで勝手にタイリクイチモンジと呼ばせてもらいます。

Acheilognathus macropterus。最近日本で外来種として問題になっているオオタナゴです。もちろんここでは在来種。オオタナゴだけあってたしかに大きい・・。

この辺から若干同定が怪しい・・。こやつはAcheilognathus barbatulusではないかと思うのですが。

うーん・・Acheilognathus chankaensisか?・・

うーん・・Acheilognathus tonkinensis??。トンキントゲタナゴってこんなでしたっけ。
ということで以上タナゴ類でした。日本産でも難しいですがやはりタナゴ属Acheilognathusは中国産ではさらに難しいです。図鑑を見ると同水系にはさらに数種がいるようで、産卵期にはさぞや絢爛豪華な婚姻色祭りが開催されるのでしょう。
次回はカマツカ類です。

参考文献

Chen, Y. (1998) Fauna Sinica Osteichthyes Cypriniformes II. Science Press, Beijing, China. 531pp. (in Chinese with English abstract)

Chang, CH., Lin, WW., Shao, YT., Arai, R., Ishinabe, T., Ueda, T., Matsuda, M., Kubota, H., Wang, FY., Jang-Liaw, NH., Kao, HW., (2009) Moleculer phylogeny and genetic differentiation of the Tanakia himantegus complex (Teleostei: Cyprinidae) in Taiwan and China. Zoological Studies, 48: 839-850.

Okazaki, M., Naruse, K., Shima, A., Arai, R. (2001) Phylogenetic relationships of bitterlings based on mitochondrial 12S ribosomal DNA sequences. Jounal of Fish Biology, 58: 89-106.

<1月11日文献追加>
Akai, Y., Arai, R. (1998) Rhodeus sinensis, a senior synonym of R. lighti and R. uyekii (Acheilognathinae, Cyprinidae). Ichthyological Research, 45: 105-110.