昨日に続いて先日の石垣島・与那国島での旅の思い出です。今日は出会ったカタビロアメンボ科!
まずは石垣島編

ウスイロケシカタビロアメンボです。止水性で、なんてことはない水たまりやコンクリート桝をのぞき込むとだいたいいます。オスが極端に小さくて、大きなメスの背中に乗っています。

ミンサーケシカタビロアメンボです。流水性で渓流の淀みでみられます。本種は2024年すなわち昨年に記載されたばかりのピチピチの新種です。従来から八重山の渓流に”デカいカスリケシカタビロアメンボ”がいることはよく知られており、どう考えても別種だろォォ!!と思っていた人も多いのですが、その沼に攻め込む人は最近まで現れませんでした。しかし”カタビロアメンバー”を名乗る若者たちによる果敢な挑戦が実を結びついに新種記載されたのです。ちなみに名前の”ミンサー”は八重山の織物であるミンサー柄を彷彿とさせる体の模様に由来します。

イリオモテケシカタビロアメンボです。流水性でやや薄暗い細流でみられます。茶色い体が特徴的で、さらに写真のようなオスは腹端が突出しているのが目立ちます。個性派です。

タカラナガレカタビロアメンボです。流水性で渓流の岩の隙間や細流などやや薄暗い環境を好むようです。茶色みの強い上質感のある体が特徴的です。

ヒゲナガカタビロアメンボです。流水性で渓流の岸際の水面上をすたすたと歩いています。2022年に新種記載されたばかりで、日本産種では他に似たもののない堂々としたエレガントな種類です。実際に野外でも割と堂々と歩いています。

そしてこちらはそのヒゲナガカタビロアメンボの長翅型です(gentilisさんご教示ありがとうございました!)。野外での採集例は少なく珍しいそうです。漆黒でさらにエレガントです。

アシブトカタビロアメンボです。流水性で渓流の流れのはやい場所の水面上を群れでガンガン泳いでいます。体長3ミリを超え太い脚とあいまったその大迫力のボディが特徴です。我が国のキング・オブ・カタビロアメンボの名を長らく欲しいままにしています(※オイカワ丸調べ)。
続いて与那国島編。といってもあまり時間がなくて1種類しか採集できませんでした。
カスリケシカタビロアメンボです。止水性~緩流水性で、薄暗い水たまりや細流の淀みで群れていました。八重山の種類がすべてミンサーケシカタビロアメンボだったのかというと実は違って、本土と同種のカスリケシカタビロアメンボも分布しています(ただし石垣島では未発見)。
ということで実質4日間ほどの調査で、他の調査のついでではありましたが、7種ものカタビロアメンボ科に出会うことができました。実はこの地域にはまだ他に6種もの本科が分布しています(ヒラシマナガレカタビロアメンボ、ケシカタビロアメンボ、ホルバートケシカタビロアメンボ、モリモトケシカタビロアメンボ、ウエノケシカタビロアメンボ、ケシウミアメンボ)。あまり知られていませんが、八重山地域の生物多様性の豊さを示すグループの一つなのです。そして八重山地域の”豊かさ”を守り繋いでいくためには、これらのカタビロアメンボ科総勢13種がこの地域に生き続けられるよう、多様な環境を守り再生していくことが必要なのです。