晴れ
のち曇りのち雨。んだぁ!
天井桟敷の人々 【Les enfants du Paradis】
これを見た。
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いやぁ、結構というかかなり良かった。『フリッカー、あるいは映画の魔』という本のなかで、ナチによる占領下のフランスで作られた傑作と書かれていたので、そういった背景をぼんやりと思い浮かべつつ映画を見始めたけれど、そういう余計な思いはすぐに消え去った。
普通にみて普通に面白い。始まってすぐに、うわ、こいつ俺やん、と思ったひねくれたおっさんが出てきたが、この映画一番の悪党だったよ。
主要な登場人物すべてのキャラが立っていて、バランスもよいので見ていて楽しい。主役、というのは無言劇のバチストということになるんだろうな。顔が奇妙(スマップの草磲剛っぽい。ああいう衣装と白塗りでコントしてたような気もする)。パントマイマーという役どころの所為か、立ち居振る舞いが静かながら印象に残る。ヒロインはガロンスという、半裸を見せものにした小屋で働いていた美女。と言うことになっているし、実際綺麗に見えてくるんだけども、すでにおばちゃんじゃなかろうか。話し方もおっとりしていて、雰囲気が長山藍子に似ている。
バチストの友人というかライバルが役者のフレデリック。こいつが一番いい役だ。お調子者でセリフ役者アクターの役で、いつでも女性を口説いている一方、金に執着がなく借金とりに追われつつ、芝居の台本が気に入らず、勝手にメタ演劇にしてしまい、怒った原作者と決闘したりする。が、能天気さは変わらない。一番幸せなやつ。
最後が、冒頭にでてきた悪党で物書きのラスネール。こいつのひねくれ具合は見ていて吐き気がする。自分見てるようで。ま、こいつのほうがカッコいいんだけども。髪型がだんだんギャグのようになってくるが、後に登場する伯爵がさらにギャグっぽい髪型なのであまり気にならない。あの伯爵は酷い。
フレデリックと決闘した原作者(たぶん負けてる)は三位一体先生と呼ばれていて、原作者一人に幇間が二人付いて回っている。べたなコメディなんだけどなかなかよい。いつも同じことを言っているのか、これが映画であることを彼らのシーンだけ隠していないのかわからないけれど幇間の二人のセリフがきっちりとハモるのが、わかっちゃいるけど笑ってしまう。
この映画の名セリフはガロンスがフレデリックに言った「愛し合う者同士にはパリも狭い」ということらしいが、爆笑したのはラスネールの「馬鹿は殺すのが一番さ」でした。これが一番だろ、普通に考えて。