パンタナル・レース4日目

眠くて、深夜涼しい稜線上で一時間ほど眠った。田中さんは進みたそうだったが身体が持たない。23時から24時過ぎまで寝たので、再び歩き始める。またヨガスラッカーに会った。眠い。道もないが、歩みを続ける。一つ、ピークからの下りでどこにいるか現在地が全く判らなくなってしまったので明るくなるまで様子を見ることにした。アルファ米を食べる。沢で水を汲んだときに一緒に作っておいて良かった。水筒の水は残り少ない。

1時間ほどで起きると、あっさり通ってきた方向に進むべきラインが見えた。なんてことか。反対側に向かうところだった。朝焼けの中を進む。900m超えの今回最高峰が近づいてくる。



後ろには歩いてきた道なき山脈。そして地平線までのブラジルの大地。


3時間ほどで到着か。今回はずっと快晴。水は貴重だが、歩きやすくて助かった。カロリーが足りず、剥き栗を食べる。今回気づいたが、レトルトのような水分を多く含んだ食品の方が大分食べやすい。逆に乾燥したナッツや柿ピーなどはほとんどレース中食べれなかった。栗は湿気があって若干楽だった。


山頂には今回のレースで通過した選手が積んでいったであろう、石が重なっていた。
人里離れた山脈のピーク。ここに登る人は少ないだろう。

そこから岩場を下り、しばらく平坦な広場に出る、と思いきや細かいアップダウンがあって降りて見るとメンバーが見えなくなったり以外と歩きにくかった。しかし水は潤沢にあって助かった。沢に水が流れており昨日の分から不足していたのでたっぷり飲んだ。


ここから、一つ違う尾根のピークにCPがある。降りて登るだけだがなかなか強烈な斜面だった。


ピークに近づいたところで、ハニさんが熱中症でがくんとペースが落ちた。CPをみつけ、多少休む。ぐったりである。伸びて風を浴びる。ここから降りて、川沿いに下ってあるくと8kmでCP、トランジションである。場所が山頂からはっきりと確認することができた。


また凄い斜面を下っていくところで、TV局の人の姿が一つ違う尾根で確認できた。尾根を間違えたか? と思うが地図からは正解と読み取れたのでそのまま進む。伝っていく沢に降りたのでそこから2kmほどで地図上の道と川が合流するところに出た。久しぶりに見るきれいな小川。何はともあれハニさんの全身を浸ける。


私も靴を脱いで全身を浸した。足の汚れを魚がつついてくれる。身体も冷やして気持ちいい。木には熱帯の鳥がとまっている。自然に抱かれているとはこのことかと、レース中もっとも気持ちのいい瞬間だった。


さて、地図ではここから道に入ることになっている。ほぼ川と並走しているが、川の方が遠回りとなる。道らしいところに目星を付けて探していくが、どうもどこも途中で薮に消える。無い。どこまでもエグいレースである。丁度ここは時間をかけてでも川を伝えば道に出ることが確実だったので、川を下っていくことにした。


最初は綺麗だった小川はだんだん流れが淀んできた。ただし前を行くチームの足跡が少なくとも一チーム分はあったので心強かった。降りていきながらも、本当はもう少し探したら道があったのではないか、と思うこともあったが、田中さんは「いや、絶対に道はなかった。この川が唯一安全にCPへ連れて行ってくれる」と言い切って川を下り続けた。かなり深く、胸元まで浸かることもあって逆に足に負担は少なかった。前に出て引っ張っていくことができた。


丁度2時間で道路と交差するところに出る。橋があるかと思っていたら見事に川底にタイヤの跡があるだけの場所だった。何はともあれ、CPまでもう少しのところに出てきて安心である。ハニさんは大分ぐったりしていたが、マチマチは元気で二人で歩いていった。
CPではカヤックに乗り換える。久しぶりの人里である。コミーダ(ブラジルの定食)を出してくれてとても美味しかった。人間の食事は大事だ。マッサージをしてくれる人もいた。暗くなる頃65kmのカヤックをスタート。川の流れに沿っていくのであり難い。最初のところで時速を測ると8kmは出ていた。


しかし、だんだん眠くなる。半分眠っていた。方向感覚も判らない。下手したら違うルートに流されたり、湾のようなところへ入り込んでしまう。