感想:NHK番組:哲学解説番組「哲子の部屋」(2013年8月20日(火)放送)


 NHK番組「哲子の部屋」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■哲子の部屋 | NHK注目番組ナビ! | NHKオンライン
http://www2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=09_0164

 NHK Eテレでの視聴です(放送日:2013年8月20日(火) 23:30〜23:54)。


■概要

>気鋭の哲学者が映画やマンガなど親しみやすい題材を哲学的視点で読み解く、全く新しい哲学教養エンタメ「哲子の部屋」、2012年8月の放送に続く第2弾! 今回は、J-POPや話題の映画「HK/変態仮面」から20世紀最大の哲学者・ドゥルーズの思想を解き明かす!


>「自分探し」や「自分らしさ」など、アイデンティティに関する悩みが尽きない現代人。その悩みを解決するキーワードがなんと「変態」(メタモルフォーゼ)にあり!?サカナクション忌野清志郎の楽曲、さらには今春公開の映画「HK/変態仮面」を教材に、新進気鋭の哲学者・千葉雅也が、注目の若手女優・清水富美加やお笑い界最強の論客・マキタスポーツを相手にモノの見方・考え方を一変させる“哲学”を熱く語る!


>出演 哲学者・立命館大学准教授…千葉雅也,清水富美加マキタスポーツ
>語り 島本須美


■内容

 哲学者が登場して哲学をゲスト二人に噛み砕いて説明する番組。昨年(2012年)8月28日に第一弾が放送されており、今回一年ぶりの第二弾となります。(第一弾の感想→http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20120829/p3)。


・今回のお題は「本当の自分らしさ」「アイデンティティ」について
・「人はみな変態である」と主張してみる
・変態と言っても、変質者とかの変態では無く、「姿を変える」という生物用語での変態「メタモルフォーゼ」のこと
・哲学者ジル・ドゥルーズは「本当の自分、なんてものはない」と唱えた
・人は変化(変態)し続けている。確固たる自分というものはなくて、その時々で別の何かに変わり続けている、という考え
・映画「HK/変態仮面」を持ち出してくる
・主人公「変態仮面」は「俺は本当は変態じゃない…」とか悩んでいる
・あるときニセ変態仮面が現われた
・ニセ物は本物より変態度が上で、ニセ物から「お前は変態レベルが下」と言われて精神的に打ちのめされ、敗北してしまう
・しかし本物は悩んだ末「変態レベルが上ということと強さは別」と気がつき、立ち直る
・変態度は下でも、それと強さは違う。中途半端な変態仮面でもかわまない、と自分を肯定した
・人は「中途半端じゃダメ」とか思っていませんか。
・近代になり、職業選択とかが自由になった分、「どうすればいいの? 自分らしさとは?」とかを悩むことになった。
・「変態でなければならない」のように、「自分は○○でなければいけない」という呪縛から逃れることが大事。中途半端で変態する自分を肯定する。


■感想

 昨年放送分は冒頭に「徹子の部屋」のテーマ曲のパロディを流していたりしたのですが、今回はそれは無し。ダメじゃん、タイトルだけパロっても。

 今回の放送はあの「HK/変態仮面」をネタに持ち出してくるということでネットニュースで話題になっていましたが、終わってみれば去年放送分での「ファイトクラブ」同様あくまでもテーマを語るための参考資料という感じで、手堅い取り扱いぶりでした(初見の人はガックリ来たのでは…)。しかし、NHKで半裸+パンツマスク+網タイツの怪人の映像が踊るとはある意味衝撃の光景かもしれません。

 今回もまあそこそこは面白かったので、来年夏に放送があることを期待したいと思います。