前エントリでご紹介した、音声教材を一文やワンフレーズずつに区切ったものを使うと、例えばクラスで“聴写(ディクテーション)”をさせるときなどに便利です。iPodのようなポータブルデバイスでもいいしノートパソコンでもいいですが、それをスピーカーにつないで教室で聞かせるのです。スピーカーは持ち運びができて音質的にも高性能なものがたくさん出ていますし、教室に置いてあるAV機器やテレビのスピーカーにつないでもいいですね*1。もちろん教室に設置されているスピーカーシステムに外部音声入力があれば理想的ですが。
音声ファイルの分割については、こちら。
ただ、iPodにせよノートパソコンにせよ、音声を操作している間その機器から離れられないのが難点でした。ディクテーションしているときは教室中を動き回って、生徒の間違いを指摘*2したいのです。そのためにiPodに長い長いケーブルをつないで教室中引き回してみたこともありましたが、何とも面倒で。これを何とか無線で扱えないかと思っていました。
で、ノートパソコン上のiTunesやWindowsMediaPlayerなどをリモートコントロールできないかといろいろなソフトを試したんですが、無線が不安定だったり、反応が遅かったり、どれも今ひとつ。もっと「さくさく」操作できる方法はないかな(それもできるだけ安価に)と考えた結果、パワーポイントファイルに音声を埋め込んで、スライドショーの機能を使えばいいんじゃないかと。スライドショーだけなら、TEDなんかのプレゼンテーションで使われているコントローラーがありますからね。
ということでやってみました。結果から言うとものすごく快適です。
01.パワポファイルを新規作成します。
単なる無地のページを、音声ファイル数+1枚(ここでは11枚)作ります。+1枚は別になくてもいいんですけど、パワポファイルを開いた時点で音を出さないようにするため。もちろん最初の音声ファイルの設定をいじればいいんですけど。
02.音声ファイルを取り込みます。
分割した音声ファイルを1ページにひとつずつ取り込みます。ファイルのあるフォルダから直接ドラッグ。音声ファイルが10個あるなら1ページに10個取り込んで再生の順番を決めておけばいいような気もしますが、実際にそうやるとコントローラーの操作によって複数の音声が重なることがあり得るので、面倒ですけど1ページ1音声にしておきます。
03.音声ファイルの設定をします。
取り込んだ音声ファイルのアイコンをクリックして、オーディオの書式設定のオーディオオプションにある開始から、「自動」を選びます。これによって、ページがめくられた瞬間に音が出るようになります。
その下にある設定ボタンから「スライドショー中にアイコンを非表示」を選んでおきます。別にアイコンが出てたってかまわないんですが、ディクテーション中は音声に集中したいので画面に注意を引くようなものを出したくないし、あと、マイクロソフトのアプリケーション全体に言えることですけど、アイコン自体がまったくもって美しくないので。
04.同様の作業を繰り返します。
音声ファイルが10個あるなら、同様の作業を10回繰り返します。長い“課文(教科書の「本文」)”などだと何十個にもなって、ハッキリ言って面倒です。上記の03など音声ファイル自体のデフォルト設定にできないかなとも思うんですが、勉強不足でできてません。ご存じの方がいればご教示ください。でもまあ、教材作りというのは常にめんどくさいというか、しんきくさい営みなんですよね。そういうめんどくさい作業がお嫌いな方は教師には向いてません、はい。
05.スライドショーを再生します。
これでスライドショーを再生すると、画面は真っ白のまま音声だけが流れてくれます。で、これをリモコンを使って遠隔操作するのです。これで音声を再生しながら教室中を飛び回れるようになりました。ディクテーションやリピート練習などのとき、何度も何度も同じ部分を簡単に再生できてとても快適です。教師が操作にまごつかないというのはとても大切で*3、これによって授業のスピード感とか生徒の「ノリ」みたいなものが全く違ってくるんですよね。
こんなめんどくさいことをしなくてもリモコンで例えばiTunesやWindowsMediaPlayerなどを操作できればいいんでしょうけど、現時点では任意のポイントで停めたり、好きなだけかつ正確に巻き戻しや早送りができないんですよね。しかもどこで停めようなどと意識を集中させる分、生徒への指導がおろそかになります。パワポのスライドショーにしておけば、ページを切り替えた瞬間に操作から意識を離して、生徒の手元に意識を向けることができます。
リモコンはプレゼン用のこれを使っています。
LOGICOOL プロフェッショナルプレゼンター タイマー機能・LCD搭載 R800
もっと安いものでも十分ですけど、これはレーザーポインターもついてるし、パワポファイル自体を開いたり閉じたりするのも遠隔操作できるので重宝しています。
ちなみに私はモニターを黒板やホワイトボードの前に置いて、スピーカーがわりに使っています。この写真では絵が出ていますが、これは絵を見て中国語を話すためのスライド。これもパワポのスライドショーを使っています。これに上記の方法で音声を組み合わせた教材も作っていますが、それはまた回をあらためたいと思います。