葬式と科学

http://d.hatena.ne.jp/michiaki/20090124#1232802027の「ニセ科学はなくなんないよ〜」に関する話。
コメント欄やブックマークコメントで、葬式と科学は無関係といった意見があります。


そんなこともないんじゃないかなという話を2つ。
まずはクールー病。これははてなキーワードにも書いてありますが、パプア・ニューギニアの一部で発生した病気です。

20世紀にこの部族の死者を弔うためにその死体を食する習慣があり、そのときに死者の体内に蓄積されたプリオンを摂取してしまい発病する事が解明された。

脳などを食するのは女性や子供の役割であるのと発病潜伏期間が長いためこの習慣が禁止された今でも患者は発生しているらしい。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AF%A1%BC%A5%EB%A1%BC%C9%C2


死体を食することが禁止されたのが病気の予防の為だとしたら、科学的な根拠があります。これは科学による死者を弔う慣習への介入です。


もうひとつは火葬。最近の日本ではほとんど火葬にしますが、昔からそうだったわけではありません。火葬が普及したのは、明治になってからコレラの流行を防ぐのに政府が火葬を奨励した影響が大きいでしょう。火葬による伝染病の流行を防ぐというのも科学的な根拠のあることです。しかし、これも科学による葬式への介入と考えることもできます。葬式と科学は関係無くもないのではないでしょうか。
明治政府は、火葬禁止令も出しています。これは火葬を否定する神道を推進する目的があったようですが、反対が大きかったせいか2年ほどで撤回されています。だからまあ、火葬がまったくなかったわけでも無いのでしょう。



葬儀関係にニセ科学的なものが入ってくる余地もあるのではというのも考えました。上で書いたように科学が入ってくることはあるのならばニセ科学的なものも入るかもしれないというのと、ニセ科学を批判する人たちも葬儀関係ならば批判がしにくいという利点もありそうです。


遺体を清める湯灌に使う水に特別の物を使うというのはどうでしょう。これは不謹慎ながら野菜を新鮮に保つ水からの連想で、遺体も新鮮に保てるのではというものです。強電解水なら殺菌力もあるので、本当に腐敗防止などの効果があるかも。
他には、死者専用の化粧品も思いつきました。生きている人に対する化粧と、死者に対する化粧では違ったアプローチの仕方がありそうです。また通常は使えない成分でも、問題はありません。殺菌力を強くするとか、皮膚からの水分の蒸発を抑えるとかの効果を出すようにするなどが考えられます。エンバーミングなども参考になるかも。
そういえば化粧品というのもニセ科学っぽいものがあるなあと思いました。皮膚からはほとんど吸収されない成分が含まれていることをあたかも効果があるように宣伝したりするのは、ニセ科学と呼んでもよいかも。しかし、化粧もまた儀式のひとつという考え方からすれば、科学とは無関係のことでニセ科学とは呼べないのかもしれません。