「サムライエイジ」

「まあ、人間とかって、案外そんなもんじゃねえか?大体、人間なんてのはキャベツみたいなもんだし」
「キャ、キャベツ?そのココロは?」
「剥いても剥いても別な面が出てくる。一枚知って分かったつもりになっちゃまずいだろ」


あらすじ

持ち前の正義感と、無駄に立つ剣の腕前のせいでバイオレンスな中学時代を過ごしてきた少女・三月弥。だが、彼女の夢は楚々とした乙女に生まれ変わって男の子と恋をすることだった。
遠く離れた全寮制のエリート高校・蘇芳学園入学を契機に、今までの自分を捨て去り夢を叶えることを決意する弥。でも、そんな夢は入学初日に脆くも崩れ去った。校門で武器を手渡され何故か始まる大乱闘。「力こそ全て」と掲げるこの学校で、弥は最初の関門・士道不覚悟月間を無事に乗り越えることができるのだろうか―


そこに浪漫はあるのかしら?

いつもはフランス書院等で書いてるみかづき紅月さんの一般小説。著作にサムライガールってあるけど、何かしら関係があるのかね?こっちの関係はまず無いだろうが、GA文庫でサムライガードが割りと近い時期に出てるのも偶然にしちゃ面白いかも。
まずは内容を見ないで表紙買い。セーラー服と日本刀ってのは浪漫。…できればセーラー服は旧版が良いのだけど。あとブシドーとかサムラーイって感じで固めの女の子もある意味浪漫だね。
で、期待して一通り読み終えた後に思ったことは「なんか盛り上がらんなぁ」ということ。
まず、燃え的要素が微妙。一応主人公は日常的に刀を携えているものの、その存在には否定的。加えて殺陣が必殺技1発で方が付いてしまったり、最後のVS先生も本気じゃない辺り、それってどうなのよ?と。弥はとりあえず日本刀を持っている普通の女の子でそれ以上にも以下にも思えなかった。
次に、恋愛要素?が微妙…かも。弥の性格は、まぁ置いておいて。彼女の目的といい、周囲に登場する対極的ないい男といい、BLや百合っぽいネタも含めて展開する少女小説風味にも思える雰囲気は作者が女性ということもあって意外に良かったとは思うのだけど。ただ、ほとんど進展することなくなぁなぁの状態で終わりまで行くのがいただけない。続きが出るならそっちに期待。だが、これで終わるならこれは毒にも薬にもならないと思う。
文章や内容が特に酷いということもないのだけど、内容が両方向を睨み過ぎてどっちつかずの中途半端になってた感じ。そこに浪漫はあったのかしら?手堅くはあったけど…。個人的にはポン刀!セーラー服!殺陣!一直線!ポニテ!って感じで進んでくれれば嬉しかったけど、まぁ面白ければ恋愛絡みの展開でもどちらでも無問題。とにかく、そんなにサムライ少女が好きなのなら、それに賭ける浪漫ってのを魅せて欲しいものですねっ。
4199051821サムライエイジ (徳間デュアル文庫 (Dみ3-1))
さとみ
徳間書店 2008-06-05