蛇は夜目覚める

Shipbuilding2004-06-20

朝、ipodをつけて外を走る。
今まで気づかなかった紫陽花がいたるところで咲いていることに気づく。これも昨日の長谷寺での紫陽花学習のおかげ。
そして、あらためて、その美しさに気づかさせてもらう。紫陽花の鮮やかなうすい紫と青の中間色。鎌倉のどこかの仏像の手に、誰かが持たせた紫陽花も、とても似合っていた。

海浜際では土曜の夜に使われたらしい、花火を腕章をつけた人たちが拾っている。その横を通りすぎたとき、腕時計の針は7時を回ったばかりだった。

桐野夏生「ダーク」

ISBN:4062115808
午後、夕食後から読み始め、24時前に読み終わる。途中、8時からWOWOWターミネーター3への誘惑を絶ち、10時からプライドの誘惑には多少負けつつも519頁を一気に読む。一気にページを捲らさせられた。という感じ。
馳星周ばりの今までのミロとはまるで別のキャラクタであるかのよう。他者への愛情でもあり憎しみでもある、双方の感情を抱えざるをえない登場人物達は、みな最近の桐野夏生文学の流れで、こうならざるをえないのか。たいていの漫画家が、そして優れた漫画家が、いつも主人公が同じ顔で同じキャラクタであるかのように、魅力的な人物を一人書ければそれでいいのかもしれない。
そして、わたしはいつも、桐野夏生の小説を読むと主人公の女性を作家本人のイメージで読んでしまう。
ただ、この「ダーク」は肝心の主人公と、父親に対する感情や、そこから起こしてしまった行動が理解できなかった。最後の男への思いが強いからこそ、最初の動機がどれだけ意味があったのか、わからなくなってくる。
まあ、「この人でなければいけない。なんていうことはありえない」と、昔誰かに本当に言われた、そういうことなのかもしれない。ジョゼと魚と虎風に言うと、
「いつかあの男を愛さなくなるだろう。そしていつかぼくもまた、あなたを愛さなくなるだろう。われわれはまたもや孤独になるだろう」そういうことなの。ダロウカ。

PJ harvey

と、「ダーク」を読みながらずっと聴いていたのが「Uh Huh Her 」今になって、わたしの中では、PJ ハーヴェイ一大ブーム到来。結局フジロックに来ることを知ってから、最初のアルバムから遡って丁寧に聞き返した。ノイズとしか聞こえなかった Rid of Me のいくつかのメロディや、その歌い方に馴染んでしまうと、今となって聴けば、実に正統的な女性シンガーの声と唱法かもしれない。時々歌詞カードを眺めては、とても、シンプルで、それこそダークなくせに、明かりを求め続けざるをえない様がとても気に入る。ものすごく好きになる。ヴィンセント・ギャロの「ブラン・バニー」は、最初、PJ harveyが主演する予定だったって、嘘みたいな解説が書いてある。それはそれで、すごい映画になったかもしれない。ああ、去年のフジロックで真剣にギャロ様を聴かなかったことを今になって後悔。
たぶん、ガラガラに空いているだろうグリーンのまん前に行って彼女の声を聞きたい。