人工生命を読む

人工生命―デジタル生物の創造者たち

人工生命―デジタル生物の創造者たち

生命とは何か。いままで『生命』についての明確な定義はなされていなかった。それは、つまり、『生命』といったときイメージするのは有機体で構成された、自己複製・修復し、環境と相互作用することで適応能力を獲得し成長する物質組成、であって然るべきという既成概念と、生命現象の神秘性は何者にも変えがたいという一種の固定概念が支配していた結果であると思う。

では、しかし、果たして有機体ではなくデジタル信号で書かれたプログラムであっても、同じように『生命』と呼べるかという問いはフォン・ノイマンのような機械論者が提唱してもなお、実際にそれを実証しない限り万人に納得できる形で証明することは不可能だった。フォン・ノイマンはそれを実証するためにオートマトンモデルを提案し、原理的にはチューリングマシンのようなシステムを作り上げれば、オートマトンに『生命』を吹き込むことは可能であることを示したことは有名だ。それをさらに洗練した形に作り上げたのが、かのウォルフラム。

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