白金台での三日間

  火、水、木曜の三日間、白金台の公園でぼんやりしていた。
だいたい11時半過ぎくらいに公園に着いて、
13時から14時の間に公園を出る。
会社を出てからの数時間、ずっと同じベンチに座って、
お昼ご飯を食べたり、音楽を聴いたり、文章を書いたり、
あるいは公園の風景を眺めていた。
今日のこの写真も、ベンチに座りながら一眼レフで撮った。


  秋が好きだ。
大学生の頃から、秋になるとベンチでぼんやりしたものだった。
秋晴れ、という言葉があるけれど、
なぜ、秋の太陽の光はこんなにも温かく、そして気持ちがいいのだろう。
同じくらいの気温でも、春とはまた違う優しさがある。
こんなに素晴らしい季節を楽しまないのはもったいない。


  心を洗濯しているような気分だった。
そういえば学生時代はこんな風に気ままに過ごしていたなぁと思った。
1人でも寂しくなかったのは、気ままに過ごせたからだ。


  ここ2、3ヶ月の間に自分が書いたものを読み返した。
随分ネガティブだなぁと反省した。
仕事が嫌だ、という内容が手を替え品を替え書いてあるだけで、
内容は全部一緒だ。
あーあ、これじゃあ恋人もできないよな、と反省した。
こんなネガティブな女、誰が好きになるだろう。


  そんな風に客観的に自分を見ることができるようになったのは、
きっと、公園で三日間を過ごして、
自分の好きな自分の状態を少し取り戻したからなのだと思う。
「吉田ちゃんは穏やかじゃん、だから俺は、吉田ちゃんの営業が好きなんだよ。
 のんびりしてる、っていうかね。」
と、お店の人から言われたのを思い出した。
そうだった。私も、そんな自分が好きだった。
私は自分自身では長らくそんな自分を忘れていたけど、
人から言われて、あぁ私にもまだそんな空気が残っていたのだと、少し嬉しくなった。


  夜になってから無性に出かけたくなって、渋谷のツタヤに行った。
家を出たのは、九時過ぎだった。
平日だったら、絶対にこんなことはしない。
だから、したかったのだ。
休みを満喫したかった。
色々な本を立ち読みした。
ジャンルも、様々。
山田詠美の新刊を買って帰った。


  変わろうと思った。