春の一日

カレンダーには赤い数字が並ぶゴールデンウィーク。シフトの関係で、赤い数字の日に休めるのは今日だけ。 「もののけガーデン」 のokikazuさんちのバラがキレイに開いた写真を拝見して 「よしっ、春バラを見に神代植物公園に行こう!」 と決め、昨日の夜に調布のおばちゃんに連絡。遊びに来てもいいよー!とのお返事をもらったので、久し振りに出掛けてみた。


駅までおじちゃんに車で迎えに来てもらい、おじちゃんちに到着。お邪魔するなりおばちゃんが 「お天気がいいから、おじちゃんと深大寺まで行ってきなさい。月曜日に行ってきたけど、ハンカチの木がキレイだったよ」 と先に言われてしまった。お店があるから、おばちゃんは留守番だ。

おじちゃんが 「先に深大寺に行くか?」 と言ったので、 「そうだねぇ、今年はまだお参りしていないし」 ということで、ふたりで深大寺へ。祝日でお天気もイイので、深大寺にはたくさんの人がお参りに来ていた。
本堂の脇にドーンと立って、お参りする人たちを眺めているのは、なんじゃもんじゃの木。逆に下から眺めている人たちと比べると、どれほど大きい木かが分かる。白い花は今が盛りで、ひとつひとつの花は花びらが細長く可憐なのに、それがひとつの大きな木に集うと、まるで巨大なカリフラワーのようだ。
なんじゃもんじゃの木」 というのは、その地方にある巨木を指すそうで、深大寺にあるヒトツバタゴ以外にも、いろんな土地で、いろんな木がそう呼ばれているそうだ。この大きさ、不思議な形、正に 「なんじゃもんじゃ」 という呼称がぴったりだ。
木の下では 「なんじゃもんじゃコンサート」 も開かれるそうで、パイプ椅子がたくさん並んでいた。巨木が与えてくれる安心感というのは、神社仏閣でも、森の中でも、田んぼのド真ん中でも一緒だなぁ。
本堂を挟んで反対側にあるのは、ムクロジ。この木もまた、なんじゃもんじゃの木に負けないぐらい、背が高い。おじちゃんと一緒に実が落ちていないか探したが、殻しか見付からなくて残念。諦めて、植物公園に向かった。



とにかく広い、神代植物公園。何度も来ているが、ひとりの時は迷子になりそうになる。庭のようにスタスタ歩くおじちゃんと、ピョコピョコ小走りの私。 「ねぇ、バラを見たいよー!」 と言うと 「ハンカチノキを見て、ぐるっと回ってから最後に、ばら園に戻ろう」 とおじちゃん。数日前に来た人には従った方がよさそうだ。
ハンカチノキは、遠くから見ても、それと分かった。 「何だか、収穫前のリンゴの木みたい!ほら、実に袋が被せてあるみたいでさ」 と言うと 「あはは!確かにそうだなぁ」 とおじちゃん。
ほら、ほら。そう見えるっしょ?


近くで見ると、花だと分かる。白い2枚の葉 (苞) の真ん中にちょこんとあるのが花だそうだ。下に延びる白い葉は、確かにハンカチみたいだねぇ。白が、本当に真っ白でキレイ。逆光で見ると、更にキレイだ。
「あらぁ、本当にハンカチだわ」 「どれが花?どれが葉っぱ?」 「テレビで紹介してたよねぇ」 などと言いながら、たくさんの人がこの木に集まる。私よりも背の低いおばちゃんから携帯電話を渡され、 「ハンカチのところが上手に撮れないので、ちょっと獲ってもらえる?」 と言われ、下手なりに撮ってあげた。 「やっぱり若い人は上手ねぇ」 なんて言われ 「いやぁ・・・」 と苦笑い。


公園内で何度か見た、ベニバナトチノキの花。
この花の色も、とってもキレイな色だ。花はもちろんだが、枝の紅色が美しくて、お隣を歩いていた外国人の集団がワァオ!みたいな声を上げていた。言葉は全く分からなかったが、その色に魅せられていることはよく分かったよ。
幹の部分に抱きついてみた。私の両手では半分とちょっとぐらいまでしか回らないぐらい、大きな太い幹。おじちゃんは 「何やってんだぁ」 って顔をして見ていたけど、外国人にはウケていた。次々に真似っこハグしていたもんねぇ。

数日前までは満開でキレイだったというツツジの花は、全て終わっていた。いつも池のほとりで日向ぼっこをしているカメたちを見に行ったが、一匹も見られなくて残念。ガッカリする私におじちゃんが 「石楠花 (シャクナゲ) はまだ咲いているぞ」 とシャクナゲ園へ連れて行ってくれた。

3年前の日記で、 「エリカ様のブラウスみたい」 と思ったシャクナゲだね。今日も白が光っているねぇ。
ホント、シャクナゲって華やかだなぁ。
大きな株が迷路のような小道の脇に、たくさん植えてある。花の迷路は楽しくて、つい自分から迷いに行ってしまうね。この株を右に行くか左に行くかで、次に出会うシャクナゲが違うんだもん。ステキだ!


こちらのシャクナゲは 「ジーンマリー」 。ひと株、ひと株に名札が付いているのが、有難い。
花びらは巨大なツツジのようでもあり、ハイビスカスのようでもある。華やかな色だがマット感はあまりなく、上品な感じも受ける。
シャクナゲといっても、いろんな種類があるんだね。


こちらは 「ブルーピーター」 。この紫がかった青が何とも美しくて。
遠くから見て 「うーん!」 、近くで見て 「うーん!」 。うーん!しか出てこない。はぁ、言葉って便利なようで不便だ。

他にもたくさんのシャクナゲを見て動かずにいる私に、案内人のおじちゃんが 「次は牡丹と芍薬に行ってみるか。もう終わっているかもな」 と声を掛ける。

案内人の言うとおり、牡丹も芍薬も終わっていた。あー、今回もそうかぁ。つくづく 「美人」 とは縁がないんだなぁ。
いくつか咲いていた中で、いちばん華やかだったのが、この牡丹。牡丹だから、としゃがんで同じ目線で観察。こんな風に美しく座っていることなんて無理だわ。。。
来年こそは、咲いている美人な姿を見に来ないとっ!


そして到着したのが、ばら園。ここは、日本ですよー。イギリスじゃないですよー。
そして、春のバラフェスタは11日からですよー。
そう、バラが殆ど無い。。。本当にあと1週間で咲くんだろうか、というぐらい蕾が多数を占めている。うー、残念。それでもイイお天気に誘われて、ばら園の脇にあるベンチでは、たくさんの人が花を眺めながら休んでいる。ここだけ時間がゆっくり過ぎているね。
「春バラは409品種5,200余本、秋バラは約300品種5,000余本」 と案内にあるように、春も秋も楽しめるシンメトリーのばら園。ここもまた、 「うーん!」 な場所だ。


それでもほら、ちゃんと咲いてくれているバラもあるよ。
バラの名前は難しい。 「カクテル」 とか 「プリンセスミチコ」 みたいな名前だったら覚えられるのに 「ロサ なんちゃらかんちゃら云々」 となるともう、覚えられない。訳すると 「バラ」 しか分からないということか。こりゃ、ダメだ。
でも、それぞれの花に個性があって、色も大きさも香りも違って素敵、っていうことは分かるよ。


この色は、今日いちばん見惚れた色。
もう、そこにあるだけで感謝、という姿。
うーん!


ワイルド・ファイアー。
花びらの重なりが華やかで、色も鮮やか。アメリカ生まれ、っていう感じが出ているね。
真ん中にハチがいて忙しそうに動いているところを撮ったんだけど、分かるかなぁ。


ばら園脇の売店で、ひと休み。ピンク色のドリンクは 「バラのジュース」 。
本物のバラの花びらと天然水で作ったジュースとのこと。ほんのりバラの香りがして美味しかった!バラのソフトクリームの方が人気があるみたいだったなぁ。次回はチャレンジしてみようっと。


「もうちょっと散歩するか?」 と言われ、ジュースでパワー充電した私は 「うん!」 と答えてしまった。だいぶ、ヘロってきたんだけど、お天気が良くて気持ちイイんだもん。もう少し歩こう!


園内の小さな橋を渡ると、そこには水生植物園と林間散策路がある。散策路入り口には、たくさんの種類の梅の木。もう花は終わっているが、一斉に咲いたらキレイだろうなぁ。蝋梅もたくさんあるから、香りもすごそうだ。
そして、写真のコレは・・・大きくなったタケノコ。私の2倍も3倍も、もっともっと大きなタケノコもあって、思わず笑ってしまった。そういえば、深大寺周辺の竹林にも、伸び切ったタケノコがあったねぇ。皮を着けたまま伸びるんだ。とにかく大きくて驚いたぁ!


「今年は梅の実が少ないなぁ」 なんて言いながらおじちゃんは梅の木を見上げていたが、ちゃんと実がなっている木もあったよ。ぷっくりした実をたくさん付けている枝が、何とも可愛らしくて。


梅に限らず、空の青と植物の緑は最高だ。


「腹減ったなぁ」 とおじちゃん。家を出る前におばちゃんの作ってくれたお昼ご飯を食べてきた私は、それほどお腹も空いていないが、おじちゃんは遅い朝ご飯のあと、何も食べないで植物公園に来たんだった!


深大寺といえば、深大寺そば。おそば屋さん、たくさんあるもんねぇ。観光マップのページにあるお店の写真をみているだけで、おそばが食べたくなるよ。今までおじちゃんやおばちゃんたちと、いろんなお店のおそばを食べたなぁ。 「今日は、どのお店にする?」 と聞くと 「そうだなぁ、今日は一休庵にするか」 とおじちゃん。ありゃ、私がヘロっているから、いちばん近いお店を選んでくれたのかな?うふふ。
おじちゃんは、天ぷら山盛りの天ぷらそば、私はとろろそば。十割そばじゃなくて普通のおそばにしたが、それでもこの歯応えはそば粉の割合が多いんだろうなぁ。うん、やっぱりおそばはいいねぇ。



おそばを食べながら考えるのは、また食べ物のこと。 「ねぇねぇ、まだ羊羹あるかなぁ。もう、売り切れの時間かなぁ」 「あぁ、どうだろうなぁ。寄ってくか?」 「うん!やったー!」
人混みをかきわけ、梅月さんへ。お店に一歩入ると、正面に見慣れた包み紙が見えた。 「あー、羊羹!」 。お店の方が 「試食、どうぞ」 と言ってくれた。久し振りの羊羹を口に放り込み、 「うーん、やっぱり美味しい」
お土産に大判焼きをもらい、おじちゃんと半分コして食べながら、深大寺をあとにした。テクテク歩きながらまた、巨大なタケノコを見つけて、笑った。 「うちには、ご近所からもらったタケノコがいっぱいあるぞ。おばちゃんにもらってけ!」 とおじちゃん。
家に着くと、おばちゃんがさっきの会話を聞いていたかのように 「タケノコがいっぱいあるのよ。持ってく?」 とおばちゃんに言われた。 「うん、もらってく!できれば 『チン!』 ってやったらすぐに食べられる方がいいなぁ」 と言う私のために、おばちゃんは鍋いっぱいに具だくさんの煮物を作ってくれた。タッパーは、大きいので、ね。


春の花を眺め、春の味をいただき、休みらしい休みを過ごすことができた。春って、それだけでいいね。