『127時間』

ダニー・ボイル監督最新作。断崖に右腕を挟まれて動けなくなった主人公アーロン・ラルストンが奇跡の生還を遂げた実話の映画化。主要登場人物はジェームズ・フランコだけという、アカデミー主演男優賞ノミネートも納得の熱演が心に残る傑作。
ダニー・ボイル監督作品はその映像と編集や音楽の独自さで、題材がどんなジャンルの物語でもダニー・ボイル印の作品になってしまう。もちろんそれが全て作品として成功するわけではないけれど。そしてアカデミー作品賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』の次作となる本作品も、まごうことなきダニー・ボイル印の作品でした。個人的にはダニー・ボイル作品では長編デビュー作『シャロウ・グレイブ』が一番好きな作品だったけれど、本作品はそれと双璧に位置する大好きな作品となった。
物語は5日間の孤独な戦いを生き延びた主人公の実話なので、どんな形であれ生還することは、作品を観る前から分かっている感動必至の物語である。けれど目の前の物語を動かしてゆくのは右腕を挟まれて動けない主人公一人だけ。部分的に回想シーンが挿入されるとはいえ、動けない主人公など決して映画向きではないと思われる。けれどダニー・ボイルはカメラマンを2人起用することで画面に変化を与え、回想シーンを含む物語構成の巧みさで、観客をグイグイと物語に引き寄せてゆく。
『127時間』は前作『スラムドッグ$ミリオネア』などより物語としてはるかに秀逸であり、作品全体のテンションの高さと力強い希望へ収束してゆく物語のパワーは、間違いなくダニー・ボイルの最高傑作であり、ジェームズ・フランコの生涯の代表作になると思われる。

 

6月18日 公開
原題「127HOURS」
監督:ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・フランコ/アンバー・タンブリン/ケイト・マーラ/クレマンス・ポエジー/ケイト・バートン/リジーキャプラン

【ストーリー】
金曜の夜、いつものように一人で、ロッククライミングを楽しむため、ブルー・ジョン・キャニオンに向けて出発したアーロン。だが、運命の瞬間が彼に襲いかかる。落石に右腕を挟まれ、谷底から一歩も動けなくなったのだ。助けを求める叫び声は無人の荒野にむなしく呑み込まれ、持てる知恵と経験を総動員して岩を撤去しようとするが、ピクリとも動かない。死を目前にして初めて自分の人生と向き合うアーロン。自分勝手に生き、決して心を開かなかった。両親にも、友達にも、恋人にもー。衰弱した身体を引き裂くように襲いかかる後悔、そして湧き上がる命への情熱。生きたい。生き直したいー!そして生命の限界を超えた127時間後、遂に彼は<決断>するー。

配給:20世紀フォックス×ギャガ(宣伝)
2010年/アメリカ・イギリス合作/94分/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/字幕翻訳:林完治
(C)2010 TWENTIETH CENTURY FOX

公式サイト http://127movie.gaga.ne.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2011-2nd/127/

スラムドッグ$ミリオネア[Blu-ray]

スラムドッグ$ミリオネア[Blu-ray]

にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
↑へ登録してみました。けれどシステムがよく分かっていません。ランキングされるそうです。