ザ・マジックアワー

忙しいと映画を観る傾向にあるわけでもないのだけれども、この頃すっかり映画づいている。今回は三谷幸喜の『ザ・マジックアワー
 

実は、三谷幸喜作品をそれほど真面目にチェックしているというわけでもない。
「面白いよなー」とも思うのだが、三谷の作品を観るためには、観る側にもそれなりの心の「のりしろ」が必要だ。この点、そもそもの成立からして、前述のインディージョーンズなんかとはがらりと様子が違う。
 
三谷の作品は、観客に求める。笑いや感動の本質を少し隠す、という表現でもいいかもしれない。
笑いなり泣きなりのポイントが訪れた時、インディージョーンズ的な作品においては、我々はただ笑ったり泣いたりすればいい。笑わせられたり泣かされたりすればいいって言う表現の方が適切かな。
でも三谷作品の場合、それが本当に笑ったり泣いたりするポイントなのか判断することを観客に求めているような気がする。
「あれ、こんなところで笑っちゃうんですか?」とか「これ、さっきのシーンを理解してると笑えるんですけどね」とか「ちゃんとわかって泣いてますよね」とかね。
舞台系出身の脚本家にはありがちなことなんだろうけど、表現が素直じゃない。だから当たり前のことだけど、観ていると結構疲れる。
 
前置きが長くなった。
で、結局面白かったのかと聞かれたら、そりゃあ面白かったに決まってるじゃないか、と答える。よせよ三谷幸喜だぜ。面白いに決まってるじゃないか。
脱線や悪乗りの方向や質も、笑いも涙も、期待した通りのものだった。上映中に何度も笑い過ぎて息ができなくなったし、きちんと感動したし、結末もいかにも三谷作品だった。
 
 
いささか疲れたけれどもね。
 
心に余裕がある時に観ることをおすすめする。リラックスして、でも心の反射神経を研ぎ澄まして観れば、期待を裏切ることはない。
 
 
蛇足だけれども、この作品にはとてもたくさんの有名人が友情出演している。ちゃんとスタッフロールで答えあわせができるので、数えながら観るのも悪くないです。
僕は3人くらい見逃した。