白夜行(評価:★★★)

今日は仕事の谷間だったので、映画を鑑賞することにした。
  
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※※※ 注意 ※※※
「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
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1.評価
放映30周年記念の火曜サスペンス劇場
★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
 
2.基本情報

 
(2011年/ギャガ/149分)
 
監督    :深川栄洋
原作    :東野圭吾
出演    :堀北真希
      高良健吾
      船越英一郎
      戸田恵子
 
あたしの上には太陽なんてなかった。
いつも夜。
でも暗くはなかった。
太陽に代わるものがあったから。
太陽ほど明るくはないけれど、
あたしには十分だった−−。
〜公式サイトより抜粋〜
 
3.コメント
東野圭吾は結構読む作家なのだけど、なぜかこの作品は未読だった。今回、堀北真希主演で映画化されるってことだったので、いっそのこと未読のまま鑑賞しようと思っていた。
東野圭吾作品の愉しみは、ミステリーを純粋に愉しむ部分と、登場キャラクター、具体的には犯人の動機と、それを芽生えさせた背景を愉しむ部分とに大別できると思う。
犯行のプロット、なかなか真相を見破らせない仕掛けはいつも巧妙で、そして真相に辿り着いた先には、大きくそして静かなカタルシスが待ち構えている。早い話、鉄板なのだ。
なので、この作品も、凡作であることた想定していなかった。
 
事前に情報を集めるようなことは、徹底して行わなかった。見え聞こえてしまうものは仕方ないとしても、無知であると決めたので、とことん無知であろうとした。なので、事件を追いかける刑事が船越英一郎であることすら知らなかった。
 
船越英一郎
冒頭でこのひとが登場したことにより、頭の中にバイアスがかかってしまった。これを「火サスバイアス」と名付けよう。たぶん、これが間違いのはじまりだった。
恐らく時代を忠実に再現するために丁寧につくられた「昭和の風景」は、ただの「古臭い再放送」に見え、そこに現れた戸田恵子がそれに拍車をかけた。丁寧に、それなりの財を投じた結果が裏目に出てしまった。
その上、観に来たタイミングがまずかった。今、僕にしては珍しく連続ドラマをチェックしているのだけど、その作品「control」で、今まさに取り扱われている事件と、この事件の真相が近いところにあることに、早い段階で気付いてしまったのだ。
 
(さて、ネタバレです。真相を知りたくない方はバックスペースボタンを押すこと)
 
事件のあらましがわかったところで、「じゃあ船越英一郎と一緒に謎解きを楽しもう」と思い、真っ先に疑った可能性が「交換殺人」。なにせ、それが今の僕にとって一番ホットなトリックだったから。
 
そして、それを物語に投影したのとほぼ同時に、「やべ、いきなりほぼビンゴじゃん」ってことに気付いてしまった。それが開始後30分くらい。そうすると、巧妙に少しずつ語ったのであろう真相への伏線が、すべて「火サスバイアス」化してしまった。
 
これは、言うまでもなく哀しい出来事だった。
 
そして、ラストのシーン。
ここまで「火サスバイアス」にかかってしまった僕には、クライマックスに高良健吾が座るビルの屋上が、もはや断崖絶壁にしか見えなかった。「これで身投げしちゃったら、完璧に火サスだな〜。でも身投げしちゃうんだろうな〜」と思っていたら、やっぱり身投げした。
 
これが、僕の観た「白夜行」の一部始終です。
 
誰が悪いわけじゃないけど、この作品がかなりキャストに金をかけた「デラックス版火曜サスペンス劇場」に成り下がってしまったのを不幸と呼ばずして、何を不幸と呼べば良いのだろう。
 
しっかし、高良健吾はこんな役回りばっかだな。そのうちおかしくなっちゃわないといいけど。
 
5.2011年ランキング(2/4時点)
というわけで、僕的にはまるで面白くなかったけど、この作品のせいじゃないような気もするので暫定2位。
(1)ベスト10
  1 相棒-劇場版2-
  2 白夜行
  3 
  4 
  5 
  6 
   7 
  8 
  9
  10
 
(2)ワースト3
  1 
  2 
  3

(3)ランク外