PNAの導入

「ペプチド核酸」(PNA)と呼ばれる化合物があります。ペプチド状のバックボーンに核酸塩基が枝のように生えた構造で、DNAやRNAとよく似た配置をとることが可能です。実際PNAは、相補的な塩基配列を持つ一本鎖DNA・RNAと、水素結合によって安定な二重鎖を形成することが可能です。DNAやRNAには負電荷を持ったリン酸同士の反発がありますが、PNAは中性ですので鎖同士が反発しません。このため、PNA-DNAの二重鎖は、DNA同士の二重鎖より安定なのです。小宮山教授はこのPNAを「人工制限酵素」作成に生かすことを考えたのです。


PNAの構造



PNA-DNAの二重鎖。水色がPNA、ピンクがDNA。