電力使いすぎ抑制 日本テクノ「スマートグリッド」(日経産業1面)

日本テクノが2010年度末を目処に「スマートグリッド」事業を始める、と報じた。日本テクノの「スマートグリッド」はあらかじめ定めた電力の上限を越えた場合に指定した電気機器の運転を停止するという機能の付いた電力小売事業である。タイミングがタイミングだけに、米国で本格導入が始まるのを見定めながらまずは国内事業での実績作りをしようとする目論見のように見える。
日本テクノの「スマードグリッド」は、非常に単純な構造であるために、導入は簡単と思われる。しかし、どこまできめ細かい設定ができるのかは未知数。事業所の総電力が上限を越えた場合、単純に空調を止めるだけで、事業継続をしながら電力を抑えることができるのかはこれから最終調整に入るのだろう。もちろん、本システムの導入によるメリットも用意してあり、この契約を締結することによって、電力会社から供給される電力よりも1%ほど割安だという。この1%と導入コストがどれぐらいのコストパフォーマンスなのかは事業形態によって異なるだろうが、電力の抑制効果に加えて、導入効果が期待できるかもしれない。とにかく、大所帯の企業が綿密な事業に乗り出すにはまだ時間のかかる「スマートグリッド」だが、今のうちに簡単な仕組みでスタートを切り、運用ノウハウの蓄積をおこなうとともに、先行者メリットを享受する方法も悪くはない。