ローマ史第2巻-99節 ティベリウス引退

その後まもなくティベリウス・ネロ、すでに2度の執政官歴があり、2度の凱旋式を挙行し;アウグストゥス護民官職権を共有することによって彼の対等者となっていた、最も高名なローマ市民であり(なぜなら彼がそれを望んだから);その名声と富において最も偉大な将軍であり;紛れもなく国家の第2位の有名人であり国家の第2位の長である、この人物は、アウグストゥスへのある奇妙に信じがたく表現しがたい愛情に動かされて、絶え間ない任務からの休養の許可を、義父であり継父である人に求めた。その本当の理由はまもなく明かにされた。ガイウス・カエサル*1がすでに成人男子のトーガを身につけ、ルキウス*2も成人になろうとしていたので、彼自身の栄光が若者達の経歴が始まる時にその進路を阻んでしまわないように、彼は理由を伏せた。私は、この時の国家の態度、個々の市民の感情、このような人物が休暇をとることについての全ての涙、ほとんど国家全体がいかに彼の手腕に支えられていたか、を記述するための通常の歴史を予定しておく。この短い要約であっても言うべきことは、海を渡って属州に向けて出発した全ての人々が、知事か皇帝によって任命された属州総督かに関わらず、ロードス島*3で彼に会おうと努力し、彼との面会では儀鉞を降ろしたことである、しかし彼は私人だったのである(かつてこのような権威が一私人に属したことがあっただろうか)、それによって彼の引退が公的な総督達の地位よりも名誉あるものであることを告白していた。


『ローマ史』55-09 - TurkoisYu 緑松石玉

*1:ガイウス・カエサル - Wikipedia

*2:ルキウス・カエサル - Wikipedia

*3: