カチガワ録音雑記

地域の皆様に愛されて100年。カチ録は街の情報発信基地。

昨日はKD Japonに行ってきました。

2/18水 SUARA SANA / Ett


まずはETT。昨日のソロライブでKEIさんに劇的な何かがあったらしく(笑)、今までの"寡黙なギタリスト"というキャラ(あくまでETTにおいてだけですが)を捨て、「思いついた事を適当にしゃべりまくる」「曲順も決めない」というスタイル(をKEIさんが勝手にやっている。さゆりさんはいつも通り)でのライブでした。まぁグダグダだったんですが、曲に入った瞬間グダグダな空気が引き締まってたのは流石。実力があると曲間に何やろうが全然揺らがないんすね。ETTのKEIさんしか知らない人は少なからず戸惑うかもしれませんが、きっと大丈夫でしょう。

SUARA SANAはガムラン奏者二名、ガタム(インドの壷型楽器。ていうか壷)、ベース、ホーメイ(トゥバの倍音唱法)、ヴォイスパフォーマンスで構成されているバンド。
ガムランガムラン以外の音楽に用いるのはかなり難しい。大抵は、「それガムランじゃなくてもいいんじゃねぇの?」って言いたくなる、単なる鉄琴みたいな使い方。ガムランガムランたらしめている要素は融通が利かない(ものすごく簡単にいうと、16ビートのメロディを裏表に分け、対になって弾く。対になる二台の楽器はびみょ〜〜〜〜〜に音階をずらしてあり、そのズレが大きなうねりを生み出す。それをものすごい速さで弾いたりする。そのうえキメを多用する。音階も特殊だし、チューニングも変えられない)ので、それを排除して単なる効果音程度に使っているものがほとんど。逆に、構造を理解しているバリ人・ジャワ人がやる場合だと、日本の公務員がイベントで好んで使いそうな、毒にも薬にもならないシンセを用いた安いニューエイジ音楽みたいになる。猛烈にダサい。
そういうのばかりなので、「ガムランを使って云々」という謳い文句のものは、いつもなら完全に無視します。が、このバンドは自分が嘗て所属していたガムラングループの友人(つまり、わかってる人)が薦めてくれたので、観に行くことにしました。
これがかなり強力でした。ガムランの要素を蔑ろにする事はもちろんなく、インド音楽にもみられるキメを多用したかなり強度の高い構造。けどプログレにはなってない。同じく民族楽器で構成されたバンドで一部メンバーも重複するアラヤヴィジャナなんかは完全にプログレと化してて、倍音もドギツイし聴くとかなり疲れる。実は聴く前は「SUARA SANAもそうなんじゃないか」と心配してました(件の友人はテクニカルな音楽が好き)。でもそうはなってないんですよね。キメの多用も嫌味になってないし、倍音のゆらぎも生かされてる。後でメンバーさんに聞いたんですが意識的にプログレ化するのを避けて曲を作ったそうです。インドやインドネシアの曲をモチーフに、それをループさせたり、足し引きを重ねて作っているように感じられたんで、そこがプログレ化を避けられた要因なのではと思いました。
ジャンベ野郎ジャム野郎が死ぬほど嫌いで「ゆるいゆるいうるせぇ、ぬるいだけだろうが!」とついつい吠えがちな私ですが、そういうのも無いし、かなり楽しめました。