JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

高周波回路に関する書籍

電子工作の中でもアマチュア無線向けの高周波回路や無線機の設計に関する書籍というのはかなり少ないと感じます。CQ誌やQST誌の記事に掲載されたものではまとまった製作・解説記事が少なく、基礎から応用までこってりと解説した書籍が欲しいと思う人は少なくないと思います。特に高周波回路は自分で実験しないと身に付かないので、試したくなる魅力的な回路(笑)が豊富なのがFBなのです。そんな文献を集めることもやってますので、いくつかご紹介します。また良い本をご存知の方がおられましたら教えていただきたく思います。

鈴木憲二『高周波回路の設計・製作』CQ出版社


無線機の高周波回路の基礎がかなり丁寧に解説しており、実際の回路も相当に豊富で、常に手元においてある本です。フロントエンドからリニアアンプ、PLL-VFOまで無線機の一通りの回路の製作・解説が載っており、ちゃんと実用的な回路ばかりで、組み合わせると種々のトランシーバーができあがります。1990年のトラ技の連載記事だったので採用されている素子が少し古く(TA7303PやSN76514などを採用)、そのまま制作するのは難しいのですが高周波回路の勘所は十分に学べます。

鈴木憲二『無線機の設計と製作入門』CQ出版社


上述の本とほとんど同じ構成で、回路もさほど変わっていません。ICに頼らずにディスクリートで構成された回路が多いので(製作の難易度は少し高いですが)勉強になるところが多いです。

丹羽一夫『ハムのトランジスタ活用』CQ出版社


古い本ですが、製作記事が非常に豊富で解説もみっちり。鈴木さんの本と同様、各章の回路を組み合わせると種々のトランシーバーができあがります。狭帯域パワーアンプの設計方法も詳しく説明していのは貴重かもしれません。しかし1980年出版の本なため、ほとんどの素子が入手不可能となっています。VFOにはミズホほVFO-5とか採用していますしね。これも常に手元においてある一冊です。

山村英穂『定本トロイダル・コア活用百科』CQ出版社


「トロ活」を知らぬ自作派ハムはいないくらい有名な本ですね。もう読みすぎて表紙がボロボロです(汗)。トロイダル・コアの解説書というよりは無線機の高周波回路のハンドブックでしょうね。カップラ、スプリッタ、ハイブリッド、バランなどを他の文献ではなかなか出てこない回路を解説した貴重な一冊です。この本も採用されている素子が古いので困りモノです。2SC1855や2SK259なんてもう手に入りませんからね。ちなみに山村OMはウチの近所の方です。

"THE ARRL HANDBOOK"


いわゆるアマハンです。アンテナや運用のことも含めてアマチュア無線のことは全部書いてある、まさにハンドブックであります。回路技術も一通りの記事があります。おそらく知りたいことは全部書いてあると思いますが、各章別な人が書いているためか読みにくいし、製作記事がほとんどありません(偏りがあります)。NE612の使い方が細かく解説しているあたりなど、やっぱり偏りがあります。1980年代の古いアマハンを読んでいると製作記事が豊富なので、たぶん最近の傾向なんでしょうね。真空管回路を調べるならば1960〜70年のアマハンがFBです。古いアマハンは貴重なので手に入れたら手放さず持っていましょう。

広畑敦『高周波技術センスアップ101』CQ出版社


どちらかと言うとプロ技術者向けの解説書だとおもいます。スミスチャートを使って実用回路の定数決めの手法やスイッチングダイオードの歪みの解説が目からウロコでした。著者はアルインコの技術者の方のようです。

今井栄『手作りトランシーバー入門』CQ出版社


「ランド方式」を採用することでラクラク手作り!が謳い文句用のですが、初心者にはやっぱり難しいと思います(汗)。QRP機にこだわったシンプルな回路が豊富で実に楽しいです。特にTA7358をフル活用した回路が多く感心します(しかしFM用のDBM ICなので歪が多く使いにくい石です)。QRP機に特化し性能面や回路技術的にちょっと物足りない気がします(まぁ入門だからいいのか)。

櫻井紀佳『実験して学ぶ高周波回路』CQ出版社


これもプロ向けの技術入門解説書だと思います。内容は他の本とはかなり異なりマニアックかつ実験したくなる高周波回路も豊富です。しかし素子が入手しにくいのが残念です。著者はアイコムにお勤めの方のようです。

梶井謙一『送信機の設計と製作』『通信型受信機の解説と実際』


真空管回路の解説といえばこの2冊でしょうか。かなーり細かく解説されている大変貴重な本です。トランジスタ回路でもこのくらい濃厚な解説書が欲しいのですが・・・