「大和」の25mm三連装機銃

これまで気になっていたタカラの「世界の艦船SPECIAL:男たちの大和」である。店で手に取って眺めているうちに、だんだん「25mm3連装機銃セットであればよし、菊水一号作戦で大和に随伴した駆逐艦でもいっか。」という気になり、たまたま手にしていた箱が軽かったので、「25mm3連装機銃セット」だろうという根拠薄弱な期待のもと、買い求めた。帰宅後開封してみると、期待通り、「25mm3連装機銃セット」、しかもシークレット*1のようだ。映画「男たちの大和」で活躍したシールドなしのもののほか、シールド付、単装、と3種類の25mm機銃が入っている。明日、組み立ててみよう。

このセットを買ったおかげで、25mm三連装機銃のシールドが、レイテ沖海戦前の改装で新設されたものと、菊水一号作戦前の改装で増設されたものとで違いがあることを知った。舷側に設置されている5基のうち、1・5番が初期型、後に増設された2〜4番が最終型である。大和ミュージアムの1/10「大和」は、この違いを正確に再現している。大和ミュージアムで撮った写真の中に、たまたま右舷側の機銃座5基が写っているものがあったので、アップしておく。両端の1・5番のシールド基部は湾曲しているのに対し、中央の2〜4番のシールド基部は直線であることがわかる。これに対し、「大和」のロケセットの方は、5基とも初期型になっている。*2さすがに、そこまで考証が追いつかなかったのだろう。

そもそも、最終型を再現したロケセットを使って各時代の「大和」を撮影しているので、時代考証的に間違っている描写もあるに違いない。それが、映画の価値を損なうわけではないが。

今回のシリーズにラインナップされている駆逐艦6隻のうち、菊水一号作戦で「大和」に随伴したのは、「磯風」「雪風」「濱風」「初霜」の4隻である*3。しかし、肝心の映画には、駆逐艦はほとんど登場しない。唯一、主人公・神尾克己が救助される場面くらいだろう。「大和」生存者の救出にあたった駆逐艦は、「雪風」と「冬月」なので*4、「世界の艦船SPECIAL:男たちの大和」の名に値するのは、「雪風」のみ、ということになる。

この「雪風」は、太平洋戦争を奇跡的に生き延びた後、武装解除のうえ特別輸送艦として、13,000人以上の復員輸送に従事。1947年5月に中華民国艦隊旗艦として引き渡され、1966年に除籍・解体されたという。1971年12月に舵輪と主錨のみが日本に返還され、いずれも江田島海軍兵学校に保管されている。*5彼女の名前は、海上自衛隊護衛艦DD102「ゆきかぜ」(1985年3月除籍)に引き継がれた。

*1:通常版との違いは、シールドが最終型(通常版:初期型)、銃座が舷側用(同:甲板用)、甲板が木色(同:茶色)、乗組員の軍服が緑色(同:白)。

*2:1月6日のエントリの写真でも、左舷側の機銃座がいずれも初期型であることが辛うじて判別できる。

*3:「大和」随伴駆逐艦は、これら4隻のほか、「矢矧」「朝霜」「霞」「冬月」「涼月」を加えた9隻。それらのうち、帰還できたのは、「雪風」「初霜」「冬月」「涼月」の4隻のみである。

*4:「初霜」は、「矢矧」生存者を救出。

*5:一昨年、海軍兵学校を訪れたときの写真を調べたら、特殊潜航艇「甲標的」の背景に「雪風」の主錨が小さく写っていた。