猫物語(白)
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『偽物語』で「最終話」と銘打っていたのも懐かしい話。 5冊の続編刊行が決定した『物語』シリーズ、セカンドシーズン(あとがきより)の幕開けです。 ちょっとした「終わる終わる詐欺」のような気もしてきた。 こんなに続編が出るのも、やはりアニメ化のおかげですかね。 まだまだ面白い話が読めそうな懐の広さを感じるので、続編が出るのは純粋に嬉しいです。
さて、本作はいきなり1ページ目から、誰もが面食らうこと間違いなし。なんと羽川翼の一人称で書かれています。 これまでずっと主人公・阿良々木くんの一人称で通していて、それが特徴のシリーズでもあったのでこれは予想外。 しかし面白い試みで、実際面白かったです。
阿良々木視点ではもはや聖人として描写されていた羽川さんの本質と、逆に羽川視点で見た、阿良々木くんの格好良さが印象的でした。 作中時間は『偽物語』のあと。「更生した」戦場ヶ原ひたぎと、羽川翼の会話も面白かったです。 戦場ヶ原も、いうほど「毒が抜けた」わけではなかった。確かに丸くはなっていて、インパクトが薄れてしまったのは残念ですが、それを「成長」として描かれると、不満もいいづらいね。
「じゃあ戦場ヶ原さん、いっそ思いきって、お互いに、阿良々木くんのどこが好きかって話でもする?」
「いえ、その思い切りかたは万一この会話が外に漏れたときに、奴が調子に乗りかねないから、しないほうがいいわ」
「そうなんだ……」
彼氏に対して厳しい戦場ヶ原さんである。
褒めて伸ばす気はないらしい。
「じゃあ何の話をする?」
「そうね、阿良々木くんのどこが嫌いかという話をしましょう」
「乗った!」
ストーリーはかなりシリアス寄り。もはや阿良々木くん視点ではこうはいかない。 すごくまっとうな良い話でした。 ジュブナイル的とあえて言ってみる。これ以上説明するとネタバレになるかな。「物語」シリーズらしくはないのですが、しかし外伝的な面白さがあります。 このシリーズ、1作目以外は全て外伝かもしれませんが。
もちろん西尾維新らしく文章は読みやすいし、細かい笑いどころはたくさん用意してあります。
009
ん?
章数がひとつ飛んでないかな?
気のせいかな?
まあいいや。
こういうメタなネタもお手のもの。 何でもアリだ。
前の話を忘れていたので、『偽物語』から読み返したりして感想を書くのが遅れました。 なんだかんだでやっぱりこのシリーズ好きです。
次巻は来月発売予定の『傾物語 まよいキョンシー』、私の好きな八九寺真宵がメインなので楽しみすぎる。 阿良々木くんとの抱腹絶倒の掛け合いと、物語としての面白さ、両方期待しています。
満足度:A−