『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第二話「初陣・椅子ノ話」感想

またも、およそ一週間の遅れ。それでも感想を書いてみようかと思うのは、気になっているからか。気になっているというか、気に入っていると言ったほうがいいか。映像のスタイル(このように言ってしまっていいものか怪しいが)に、好感が持てる。この第2話では、自然現象(雨、風、光、雷)の在り方も面白い。その「丁寧」と表現しても良いようなスタイルが、しかし、上品過ぎて気障にも思えるのだから、困ったもんだ。


◆雨とノスタルジー
ここまでに既にいくつもの「過去」が提出されているが、「過去を思い出すこと」、そして「現在へと送り返すこと」が、この作品の主題の一つなのかもしれない。
第1話の感想からの連続であるが、この第2話においても、水と過去とが結びついているように見える。彼方さんと暮羽さんは雨の中を、「遺跡」の探索に出かけるし、また「幽霊」も雨にともなって出現しているようにも見える(彼方さんが幽霊を目撃するのは、雨の前だが)。アニメではしばしば、雨は何らか負のイメージの代理-表象として現れるけれども、この挿話の雨はそのような用例におさまりきるものではないだろう。穏やかにしとしとと降る雨は、過去への想いをかきたてる。もちろん、そのノスタルジーの主軸は、かつて学校だったらしい「遺跡」にあるのだが。学校という舞台は、かつて学校に慣れ親しんでいたものにとっては、多かれ少なかれ懐かしい(振り払いがたい)過去であろう。劇中で言われる「イデア文字」という言葉に、プラトンの「想起」説を読みこみ、哲学は「郷愁」であると語ったノヴァーリスを連想しても、良いのかもしれない。


◆時間の探索としての「初陣」と帰還としての「椅子」
これも第1話の感想からのつながりであり、先に雨について述べたことの繰り返しにもなるが、この第2話でも、彼方さんは過去へと遡行していく。つまり、過去の「遺跡」を彷徨うことになる。彷徨の中で、彼方さんは「変わらない音楽」によって、すなわち音が今も昔も変わらないことを想い出す(=知る)ことによって、現在へと回路を拓く。けれども、やはり注目しなければならないのは「椅子」だろう。過去から現在へとサルベージされる椅子。その椅子が、今回も過去の中で迷子になってしまう(レトリックの問題にすぎないが)彼方さんに、正常な位置をもたらしている。位置、食卓における位置、関係における位置、居場所。


◆学校とセーラー服
もう少し学校という過去について考えておかなくてはいけない気がするのだが、これは私の手には余る問題だろう。アニメにおける、いわゆる「学園もの」(その実在性には疑問の余地があるが)の問題に絡んできてしまう。それでも一つ言っておけば、この挿話中に唐突に現れるセーラー服を着て楽器を手にしたキャラクター達は、中高生くらいの人たち特有のふわふわ時間感へのイメージの飛躍を可能にするのではないだろうか。ゆえに、どう見てもサイズのあっていない、ゆるゆるな軍服を着ていても問題ない気がしてくるのだが、一方ではセーラー服にはぴったりと収まっていることへと注意が向かってしまう。「本来的な場所」へのイメージ。だがそれは表象されることはあっても想起されることはない非場所。いや、それもまたいずれ取り戻されるのか。


ロクなこと書いてないなー。