効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本の天然ガス政策

昨日出席した会合でも強調されていたことだが、日本のエネルギー政策における天然ガスの位置づけた大きく変わった。消費を促進しようということには変わりがないが、これまで石油代替エネルギーとして扱われてきた天然ガスが、燃焼時のCO2排出が他の化石燃料に比べて少ないということから、地球温暖化対応の重要な方策として利用を促進しようとするように変わったのだ。そして、たとえば重油天然ガスに変更することを促進する制度的な準備がなされると同時に、天然ガスを使ったコージェネレーションにこれまでとは違った推進制度が準備されることになるだろう。コージェネレーションは発電寺に発生する熱を回収して、給湯、暖房、さらには冷房にも使えるものだ。問題は熱を遠隔地に移動させて利用することが日本では難しい。欧州などでは地域暖房が普及していて、熱供給パイプに流し込みことで熱を有効利用できるようになっている。また欧米では発電された電気のうち需要地点で消費できなかったものは電力会社の系統に流せるようになっている。小型のものでも通常系統に流せるために、全体としてのエネルギー効率を押し上げることができる。このような方式が一般化していない日本では、コージェネレーションの普及に難しさは欧米に比べて大きい。
天然ガスの利用促進についてもう一つの課題は、日本本島に天然ガスを供給する高圧幹線が整備されていないということがある。欧米では長距離天然ガス幹線があるために、需要促進はやりやすい。日本は大手ガス事業が独自にパイプラインを建設し、相互接続ができていない。歴史的な背景があって仕方がないことではあるが、国益増進に貢献するとすれば、この幹線新設について促進制度を準備する必要があるだろう。
また、日本にはLNG液化天然ガス)として輸入されている。その価格は原油価格を反映するシステムになっているために、世界の天然ガス生産に余裕ができても日本への輸入価格が下がるとはいえない。
日本は天然ガス市場としても特異な条件下に置かれているが、それを乗り越えて実績を出すために、みんなが知恵を絞らなくてはならないだろう。