読売新聞に掲載された「高橋留美子特集」記事
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来週水曜の読売新聞夕刊に高橋留美子先生が登場 - [ 悠 々 日 記 ]
で予告していたとおり、9日の読売新聞夕刊に
掲載されたpopstyleに、高橋留美子先生の特集記事が
2面見開きで掲載されていました。
インタビュアーは(汗)さんこと石田汗太記者。
以下はインタビュー記事から抜粋した内容です。
(連載終了した「犬夜叉」について)
東京・練馬の仕事場を訪れた時、「週刊少年サンデー」でおよそ12年間も連載が続いた「犬夜叉」の完結まで、あと数回というところだった。ところが、
「(ヒロインの)かごめを最後にどうするか、まだ見えてないんですよ」
と思案顔。
「週刊連載は、『次週どうなる!』ってアドリブ的な部分が大切なので、あまり細かく先を決めないんです。キャラクターの特性に合わせ、自然に話が動いていく感じなんです」
「今回はお笑いじゃないんだと読者にわかってもらうのに、けっこう時間がかかって。一度、因縁話というか、メロドラマをやりたかったんです」
もう一つ、今回は男性キャラクターを見てほしかったという。
「これまで、女の子キャラばかり注目されてきたので……。だから犬夜叉や兄の殺生丸は、描いていて飽きなかった」
しかし、なんと言っても、強烈だったのは奈落。何度もグロテスクに姿を変える不死身の怪物で、高橋作品には珍しい陰湿きわまる“悪”だった。
「世界征服とか、私にはピンとこない。『恋敵をネチネチといじめたい』という方がわかりやすいじゃないですか。支配より破壊。本当は、誰かに愛されたかっただけかもしれませんけど」
現実にも、奈落みたいなやつは増えてませんか?
「うーん……。現実のほうがずっとヘビーなので、マンガとは切り離して考えています。ただ、そういう事件は、必ず弱いものが犠牲になるので、許せないなぁって思います」
手塚先生の『どろろ』に影響を受けたと思う。日本古来の妖怪はあまりモンスター的でないので、出てくる妖怪はかなり『捏造』しました。
(「うる星やつら」について)
「いや、当時は(ラムの容姿を)露出過多とは思わず、普通にやっちゃったというか。髪型とかコスチュームを10通りくらい考えて、これがベストだと自分で思ったんですよ。最初はゲストキャラのつもりだった(注)ので、あれほど人気が出るとは思いませんでした」
(注)当初、諸星あたるの未来の結婚相手は同級生の三宅しのぶだったが、ラムの人気が出てヒロインの座を奪ったため、連載の最後でややこしいことに。
ラムみたいに明るく裏表のない性格は、自分からはかけ離れていますね。
ラムちゃんをゲストキャラのつもりで描いていたとは、
知らなかったです。
(「めぞん一刻」について)
1980年代は「ラブコメの時代」でもあったが、高橋さんによって、若い男性読者が内なる「オトメ心」に気づかされたのでは?
「その辺、自分ではよくわからないんですが……ただ、私がデビューしたころから、漫画は『何でもあり』になったし、読者も堂々と漫画を読める時代になった。そんな気がします」
一刻館みたいな建物が、大学のころ住んでいた中野にあったんですよ。取り壊されて残念。
なお、響子さんの性格については
「どこに地雷があるかわからない性格、嫌いじゃないです」。
一刻館のあるまち「時計坂」が、東京・東久留米を
モデルだという話は耳にした事がありますが、
「一刻館」は中野にあった建物がモデルだったんですね。
(「らんま1/2」について)
男の子から女の子への変身ものをやりたかった。その時、銭湯ののれんが頭の中をふとよぎって、『これだ!』と。
「ただ、『らんま』のころから女の子の読者が増えて、ものすごく手紙をくれるようになった。『犬夜叉』もそうでした。」
(経歴について)
いまでこそ少年誌で描く少女作家は珍しくないが、高橋さんの息の長さはケタが違う。「うる星」が連載9年、「らんま1/2」も9年、「犬夜叉」が12年。読者の入れ替わりが激しい少年誌で、30年間もトップを張る偉業は、かの手塚治虫すらなし得ていない。
新潟の実家は産婦人科医。幼いころから、兄の影響で「少年サンデー」を読んでいた。赤塚不二夫の「おそ松くん」、藤子不二雄(当時)の「オバケのQ太郎」、そして手塚治虫の「バンパイヤ」に夢中になった。
「だって、主人公が狼男でしょう? どストライクですよ!」
一度だけ少女誌に短編(注)を描いたことがあるが、難しさを思い知ったそうだ。
(注)「スリム観音」プチコミック、1991年。
「少女漫画の描き方がわからないので、アシスタントに聞いたりしました」
仕事場には、ファン手作りの「こたつ猫」や「錯乱坊」ダルマとか、焼きそばののぼりとか、よくわからない不思議なものがいっぱい。まるで異空間の縁日のようで、高橋ファンにはたまらない。
「私がこういうのが好きそうだと、贈ってくださる人がいて……いや、嫌いじゃないんですけど」
手塚治虫の「バンパイヤ」に夢中になったというのは、
あまり目にしたことのない情報ですね。
「どストライク」とは余程ハマっていたんでしょうね。
(次回作について)
(女の子の読者が増えたことについて)
「次の作品は、もっと男の子に読んでほしいんですけどね」
「ビッグコミックオリジナル」でペーソスあふれるおじさん連作(注=「高橋留美子劇場」)も発表しているが、あくまでも主戦場は少年誌。
「読者がついてきてくれる限り、小中高生のための漫画にこだわりたい」
と語る。
「笑ってもらっても、泣いてもらってもいいんですが、読者にはリラックスしてほしい、とにかく楽しんでほしいというのが一番の願いです」
ということで次回作は、より「少年向け」の作品になりそうですね。
新連載がいつ頃スタートするのか、まだ分かりませんが
また面白い作品を期待しています。
今はまず、しっかりと充電してください。
関連:http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/2008/07/post-c0e8-1.html
追記
web版にも記事がアップされているようです。
→ http://www.yomiuri.co.jp/feature/takahashi_r/fe_tr_08070901.htm (ウェブ魚拓)