木立朝鮮朝顔&近隣の夏花

 五月の末に近所のホームセンターにて、ダツラ(朝鮮朝顔、別稱:曼陀羅華)だと思つて需めた苗は近縁種の木立朝鮮朝顔(コダチテウセンアサガホ)でした。茄子科木立(キダチ:屬名はキダチと訓ずる由、面倒ですね)朝鮮朝顔屬の木本多年草(北アメリカ原産Brugmansia candida)で、園藝品種名エンゼル・トランペットの仲間と申した方が分かり易いかも知れませんね。
 ダツラ(朝鮮朝顔屬)との相違點は花が下向きに咲くことです。エンゼル・トランペットの仲間は淡橙色や黄色のものが多いやうですが、此のブルグマンシア・キャンディダは綺麗なアイヴォリーで、然も葉に斑(ふ)が出てゐます。因みに朝鮮朝顔屬と木立朝鮮朝顔屬は全て歸化植物、そして悉く毒草即ち藥草であります。苗の購入價格は198圓、買得でありました。

木立朝鮮朝顔

 玄關に飾る花が身近に見當らないので、本日は薄・アスパラガス・絲瓜(ヘチマ)の蔓で何とか恰好を附けてみましたが、花無しにて緑の濃淡のみゆゑ何だかお化けが出さうな趣となつてしまひました。

今日の玄關生花:矢筈薄+アスパラガス*絲瓜

 ついでに近所で見かけた夏花を四種ほど。姥百合(ウバユリ)は此のあと咲いたやうですが直ぐに散つてしまつたらしく、開花時の姿を撮り逃がしました。そのかみ、輕井澤は星野温泉に葛原妙子さんの別莊を訪ねた折、近くの雜木林にて澤山見かけたことがあります。葛原夫人に「姥百合の根を食べて夏を越えたりしアイヌの脣(くち)は素黒かりけむ」の一首があります。
 東京などの園藝店で見かける最近の鶏頭は、みな臘燭の炎みたいな小綺麗なものばかりで、斯樣に魁偉且つふてぶてしき花容を目にしたのは久しぶりであります。

姥百合の莟

木槿:白花

見事な鶏頭

晝顔

 氣に入りの食器が立て續けに割れたり、自轉車が毀れたり、此のところいゝことがなく、
仕事も滯りがちにて、かの齋藤緑雨が遺した「按ずるに、筆は一本なり、箸は二本なり。衆寡敵せずと知るべし」といふ名言が頭の中でぐるぐる廻つてゐます。尤も私は緑雨ほどの文章家ではないので、何とか俗に凌げるかも……。