5年振りの海外旅行(5日間)で韓国から帰って来たので、今日からしばらくは韓国情報ブログとなります。地方のラブホ街に泊まったりもしたんだけど、まずはソウルでたまたま入ったアートセンターのインスタレーションの紹介から。(これは期間限定だから)


ソウルで何もやることなくて適当に歩いているときに、なんとなく入ったアートセンター。入場料も3000ウォン(約300円)なので入るのも抵抗がなかった。ただ、それと同時に何かを期待している訳でもなかった。それがね、階段を上がって聞こえてきた音に本当にビックリしたのよ。


まず部屋に入って右手に映像が流れている。工業地帯の空き地と思われる場所で女性がいびつなステップで体を振り回している姿を、カメラは女性の周りを回りながら撮影している。その映像が女性に焦点をあわせたまま、スローモーションで流れる。仕切りで区切られたその向こうがサウンドインスタレーションになっている。音と映像は別々の空間のものであるのだが、その映像が流れている場所から聞こえてくるその音が完全に映像の世界観とリンクしている。しかし、映像周期(約23分)とサウンドの周期(約11分)は全く別なので同じ映像が約20分周期で流れていても、そのバックのサウンドは実は異なる音がかぶさっているのだ。(要するに再生するたびにバックの音楽が変わる)


で、映像のある場所からさらに奥に入っていくと、サウンドインスタレーションの空間となる。この場所からは、さっきの映像は全く見えない。壁一面にずらっと小さめのスピーカーが無数に、部屋を取り囲むように配置されている。もちろん、それぞれのスピーカーからは別々の音が出力されている。音楽作品ではなく、インスタレーションとしてのサウンド作品。最近の大友良英さんのインスタレーションと同じ流れを汲む作品で(大友さんの展示もちょうどソウルでやってたのね。行けなかった。。)、サイン波も使いつつ、さまざまな音がさまざまなスピーカーから流れる。どこからでも聞こえる音もあれば、そばに近づかないと聞こえない音もあり、やはりその空間のどの場所にいるかで全体の音像も違ったものになるのだろう。音像が混沌とした先に訪れる、空間を切断するような静寂。そしてまた音は静かに鳴り出す。音だけでも独立した作品であるし、さっきの映像を見ながらその音をきくと、世界観は通低しながらも、別の作品へと変わってしまう。


この"Abstract Walking" という展示は "Sora Kim project"と書かれているので、このキム・ソラさんという人が中心になっているのだろうが、この名前は今回はじめて聞く名前だ。その他、作品のコラボレーターの名前を見てもやはり韓国なので知らない名前ばかりなのだが、ひとつだけ知っている名前を見つけた。"Alfred Harth"。以前ONJOにも在籍していた即興演奏のSAX奏者だ(SAXだけじゃなくて、ほかの楽器もやるのかな)。SAXの音はなかったが、今回の作品にミュージシャンとしてクレジットされている。


全然、こういうものが目的で韓国にいった訳でなかったので、いきなり虚をつかれた気分でドキっとしてしまった。まさかこんな、自分の感性、しかも大衆性のない部分をいきなりピンポイントで突いてくるなんて、完全にやられてしまった。韓国のアートシーンも、日本に伝わってきていないだけで実は結構面白いのかもしれない。


詳細は以下のサイトでどうぞ。
(URLにパラメータが多過ぎてちゃんと飛んでいくか心配だな)
http://www.artinasia.com/institutionsDetail.php?catID=6&galleryID=548&view=7&eventID=14103
http://artsonje.org/eng/


写真は、なんとなく散歩中に撮った建物の隙間から見える有名なお寺。