TATARI

お化け屋敷ものホラー映画。あらあら、全然怖くないですね。白けてしまいました。なんなんでしょう、あのロールシャッハ・テストの絵柄みたいなお化けは。いや、別にホラー映画だからって怖い必要があるなんてこたあないのですがね。怖くない代わりに例えば物凄く悪趣味だったり、ミステリ的な面白さがあったり、キャラが立ちまくっていたり、とか、そういうのが欲しいわけですよ。この映画はどれも無し。だめだめだー。特にキャラ描写には不満がいっぱいだ。なんか微妙にロマンスも発生してたっぽいからそこんとこをちゃんと描けばよかったのに。
冒頭に出てくる遊園地の設定だけは妙に悪趣味で面白かった。ああっ?乗り物故障してる?どうしよう、死んじゃう!→ふふふ、うっそー。そう思わせて怖がらせるアトラクションでした、みたいなパターンのヒドいやつ。しかもそればっかり!あんなヒドいテーマパークがあったなら是非行きたい。

神林長平『小指の先の天使』

この人の本を読むのは初めて。えー、装丁が素敵ですね。でも装丁から予想されるような中身ではなかった。SF短編集なのだけど、ネタがかぶりまくりって言うか、たぶん仮想現実ネタというコンセプトの元に纏められた短編集。完璧なはずの仮想世界でキリンがいきなり鳩を食べるという事件が!とか、あらすじだけ聞くとSFミステリっぽかったりする短編もあるんだけど、別に意外なオチがついたりはしない、基本は対話で話が成り立ってるハードSFかな。非SF者としてはちょっと読みにくく、そしてちょっと“いけず”な印象を持ってしまうのだった。
例えば1981年発表の「抱いて熱く」っていう短編は、人間同士が触れ合うと発火してしまう世界で恋人達は……っつー話で、導入部はなんともセンチメンタリズムを刺激するんだが、落とし所がこう、冷静って言うかいけずな感じなのだ。そのへんがSFってことなのかと考えてみるわけだけど。気に入ったのは「猫の棲む処」。おお、猫SF!幻想を解体しつつも夢見てる感じが良い。猫好きにはたまらんと思われます。

新刊情報

・03/05 嶽本野ばら下妻物語小学館文庫
 こりゃきっと映画化に合わせての文庫落ちですな。買います。
・03/上 高里椎奈『薬屋探偵妖綺談 呪いの山百合』講談社ノベルス
 薬屋シリーズは断固支持する方向で。しかし未だかつてないほどにタイトルが素直だな。
・03/10 小林泰三『AΩ 超空想科学奇譚』角川ホラー文庫
 やっと文庫落ちか。長かった。