あったかな・・

・・・・   こはるちゃん  影ながらコツコツと
・・・・ 〜こんな方たちが、縁の下で 地域西谷を支えている〜


 何かもっと大切なことがあるのでは、というのに最近思い至りました。やれ地域の人口増を!だとか、やれ西谷の活性化を!、だとか、やれ人を集めるイベントを!自然体験を!だとか言って、交流人数や金の勘定ばかり一喜一憂して、いつまでこんなことをしているんだろう、もっと大切なことがあるのではないか、という自分に気付きました。こんなことに翻弄されるよりも、他に実践すべきことがあるのではないだろうか。こういうのも必要だけれども、もっと他に重きを置くものがあるんじゃないか、何かもっと大事なことが・・・・。


 そこで、出会ったのが「こはるちゃん」でした。
なんだかあったかい気持ちになりました。地域社会にとって、大事なものの原点に戻ったようでした。
 人のために何かをする。
 人とともに、寄り添って過ごす・・・。


 見えていなかったものが見えてきて、曇っていた視界がサーっと澄んできたようでした。
 暮らしの中で、近所の中で、地域の中で、忘れ去っているものを再発見したのです。自国ファーストだ、効率化だ、高度経済成長だ等と叫ばれている中で、声ならぬ声が聴こえ、耳に届かない響きが伝わってきたのです。なんだか空回りして、くるっている自分のこころに気付かされて反省するような・・・。
 そして、こんな人たちがいる西谷も満更捨てたでもないな、とおもい直したんです。こんな人たちにこそ、焦点をあてなければならないぞ、そんな人を見つけたいと。


 さてそれでは、こはるちゃんの紹介です。
 こはるちゃんは、地域に住んでおられる高齢の方たち(八〇歳〜九〇歳)と、仲間として一緒にお昼ご飯をつくって、愉しんで食べましょう、楽しい催しもしましょう、それから「送迎こはるボランティア」(今、住家、小中、辻、岡本さんら四名)で送迎もしますよ、という地域西谷のボランティアがつくったグループです(当事社協の水野さんが介護予防サービスとして呼びかけて)。一四年目になります。立ち上げ時は、ボランティア一〇人ぐらい、利用者十二,三人いました。その日は小春日和だったから「こはるちゃん」と可愛らしい名前をつけました。おだやかで、あったかいグループにしていきましょう。朗らかに楽しくいきましょう、ということが根本にあります。口コミやお誘い等で、みなさん楽しみで来てくれるようになりました。
 季節を大切にして、ごろく山里や上佐曽利宝塚ダリア園へ行ってから(この日は、長谷牡丹園へ行かれました)四季折々の西谷ならではの食事、おはぎ、ちまき、たけのこやエンドウご飯、ヒジキご飯こいのぼりやお花を飾り、なるべく手づくりのお昼ご飯をともにします。今日は、赤飯。差し入れのワケギもありました。とうてい三五〇円ではできない料理です。
 去年、自然休養村センターから、ここ夢プラザ(西谷会館)へ移りました。児童館の子どもたちと一緒になるためです。子どもたちとお年寄りが共に何かをして過ごす、とても大切なことです。
 この一四年間、いろいろありましたけど、これでいいでしょう、と辻さん(代表)や熊谷さん(副代表)はやわらかく仰られました。
 「私の生まれは熊野古道の通り道です。子どもの頃、ドロドロの乞食(ママ)が家に来ましたが、おばあちゃんはその方を綺麗にしてあげました。おじいちゃんも父も、人の世話をするのがあたりまえでした。私はそんな血をひいています。『山里』(昔、やっておられたカフェ&レストラン)をやっていたとき、ある方を送って行ってあげてから、ちょっとでも人の役に立てば、と『カーボランティア』を始めました。そんな最初の時の気持ちが、このこはるちゃんボランティアのルーツでしょうね。」(辻みき子さんが話された言葉)


 後で気付いておどろいたことに、ここは女性の方たちばかりでした。人間いや生き物の元はメス(女性)です。やはり金銭を度外視した、その生命としてのあったかさ、生きることのあったかさなんですね。
 もう一つ発見したのは、西谷以外の所から(嫁などに)来て、ここ西谷で長年こんなやさしい心が持ち続けられている、ということです。
 人をあたたかくしてあげることが、自分の心をあたためる、これは教訓です。おもてなしの心はそんなことを培えるような土壌から生まれてくるのでしょう。
 ひょっとしたら、西谷の夢のカタチはこんなところにあるのかもしれません。西谷に人が少なくなっても、こんな方たちが増えていくことを切に願っています。これからは、地域西谷のあったかさがしをしていきたいです。