パティパダー発送・ものみの塔・釈尊伝の研究・大四十経講義

日本テーラワーダ仏教協会の機関誌『パティパダー』11月号(vol.13 N0.7 通巻141)発送日。八王子の戒壇では日本大サンガが布薩(ウポーサタ)法事を行う。ゴータミー精舎には午前中からボランティアの方々が参集して、送付部数が増加傾向の仏教雑誌をテキパキと梱包していった。15:30頃には作業完了。

途中、ものみの塔信徒の女性が訪ねてきて、聖書の一節(手書き)をプレゼントしてくれた。

「……神の見えない特質、すなわち、そのとこしえの力と神聖とは造られた物を通して認められるので、世界の創造以来明らかに見えるからであり、それゆえに彼らは言い訳ができません」。(ローマ1章20節)

なるほど、そうだとすればゴータミー精舎の境内は造物主の栄光で満ち満ちているわけだな。いろいろお話を聞いて差し上げたかったが、発送作業でおおわらわだったので、立ち話で失礼した。彼女が話のまくらに使う「同じ人間として……」という態度は掛け値なしに立派だし、唯一神信仰の方々がみなそういう信念のもとに行動してくだされば世の中の争いはずいぶん緩和されるでしょう、ということはお話した。もらってばかりで申し訳ないのでと、パティパダーを差し上げたら「読む暇がないと思いますけど……」と言いつつ受け取ってくれたが、たまには他宗教を研究してみるのも悪くないと思うよ。

中央学術研究所より『原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究【11】個別研究篇III』が届く。森先生の文字通りのライフワークだろう。「提婆達多(Devadatta)の研究」(森章司・本澤綱夫)が内容の大半を占める。いわゆる仏伝資料のなかでも提婆達多の扱いはいろんな憶測を呼ぶような「含み」がある。釈尊教団と提婆達多派の緊張関係をマガダ国の権力闘争と重ねて論じた本編の「むすび」はたいへん興味深かった。並川孝儀『ゴータマ・ブッダ考』を註釈一箇所で軽く一蹴しているのも微笑ましかった。

八王子の戒壇からお坊様方を送ってきた小西会長がその足で在京スリランカ大使館に白亜の仏像を返還。完成度の高い素晴らしい仏像で、名残惜しかった。

18:30からスマナサーラ長老のパーリ経典解説。八王子で雨安居中のヤサ師とスダンマ師も聴講された。先週に引き続き中部経典117『大四十経』(M.147 Mahaacattaariisaka-sutta)講義。スマナサーラ長老のこれまで(僕が聴いた)講義のなかでは白眉。悟りにいたる聖なる八正道が、これだけ詳細に語られたことは日本仏教史上、おそらく初めてではないか。二回の講義を編集して、DVDなどでパッケージ化される予定です。

〜生きとし生けるものが幸せでありますように〜