仏法に「秘密」なし。カルト除けにぴったりの名言(増支部経典より)再掲

今年の1月28日に掲載したエントリを再掲する。誰のためとは言わないが、こういう基本原理は何度でも繰り返して周知させないといけないと思う。仏法に「秘密」はない。仏道(修行の道)にも秘密はない。「秘密の教え」を持ちだして人を誘う時点で、仏教ではない。ニセの教えである。以下、再掲載。

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現代社会には「●●聖人から秘密に伝えられた法門」とか「秘密裏に守られてきた奥義」といった代物を持ち出して、無知な人々を洗脳しようとするカルト宗教が跳梁跋扈している。残念なことにそういう連中が仏教を名乗っているケースも少なくない。

彼らは「秘密の教えの伝授」と称して、人々を閉鎖した環境に誘い込み、マインドコントロールを施して大金を巻き上げる。家族や友人関係をメチャクチャに破壊する。「秘密の教え」という宣伝文句は、詐欺・恐喝・暴行など、卑劣な犯罪の温床となっている。

お釈迦さまは「隠された奥義」「秘密の教え(密教)」なるものを明確に否定された。日本の伝統となっている「密教」の評価はともかくとして、「秘密・秘儀・奥義」などを謳っている時点で、それはブッダの教えとは関係ないと断言しなければならない。

一切智者たる釈尊が示された基準に従うならば、こそこそと教えを隠す時点で、それがまがい物・インチキであることは間違いない。躊躇なく捨て去るべきなのだ。

パーリ経典に以下のような力強いブッダの言葉が記録されている。

 比丘たちよ、隠したほうが効果があり、あらわにすると効果がなくなるものが三つある。その三つとは何か。女性(の身体)は隠したほうが効果があり、あらわにすると効果がなくなる。バラモンたちの呪文は隠したほうが効果があり、あらわにすると効果がなくなる。邪見は隠したほうが効果があり、あらわにすると効果がなくなる。
 比丘たちよ、あらわになると輝き、隠されると輝かないものが三つある。その三つとは何か。月はあらわになると輝き、隠されると輝かない。太陽はあらわになると輝き、隠されると輝かない。如来の説かれた真理と戒めは、あらわになると輝き、隠されると輝かない。
(パーリ増支部三集129)

不完全で正しくない教えなら、あまり公にさらさない方が無難だろう。しかし教えが真理ならば、万人に向けて完全に開かれてこそ、燦然と輝くはずなのだ。

世の中のカルト宗教やスピリチュアル商売に関わるほとんどの問題は、釈尊のこの真理の言葉をモットーとすることで消え去るだろう。少なくとも、自分と関係なくなることは間違いない。

ブッダの真理の言葉によって、皆さんが危険から守られますように。

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新刊『無常の見方』『悟りの階梯』新書化


サンガ新書8月の新刊より。


無常の見方―「聖なる真理」と「私」の幸福 (サンガ新書)

無常の見方―「聖なる真理」と「私」の幸福 (サンガ新書)


スマナサーラ長老の代表作『無常の見方―「聖なる真理」と「私」の幸福』が新書化。宗派を問わず仏教徒のモットーである「無常」という教えを初期経典にもとづいてとことん突き詰めた一冊。朝日カルチャーでの5日分の講義がもとになっているため、新書にしてはかなり重厚でお買い得な一冊。≪「聖なる真理」と「私」の幸福≫という副題にもあるように、無常の見方に思い慣れることが個人やひいては社会の幸福・平和にもつながるということが強調されている。それにしても、さらっとすごいことばかり書いてある本だ。冷や汗が出るわ。巻末には「死随念」「無常随念」の実践法も紹介してある。指をパチンとはじく瞬間でも「無常」を念ずる人の功徳は計り知れないそうなので(パーリ増支部)、これはぜひやってみよう。

●帯テキスト
一切は変化する それが事実です
無常に例外はありません。
無常を受け入れると 人生は明るく変化します。
 
●目次
ブッダは、「あなた」の幸せを願ったのです。
第1章 「ある」から生じる大失敗
第2章 それは「無常」ではありません
第3章 悟らなくても役に立つ
第4章 無常の世界の予測術
第5章 死を認めれば幸福になる


悟りの階梯―テーラワーダ仏教が明かす悟りの構造 (サンガ新書)

悟りの階梯―テーラワーダ仏教が明かす悟りの構造 (サンガ新書)


藤本晃博士の『悟りの階梯―テーラワーダ仏教が明かす悟りの構造』も新書化。四沙門果に至る初期仏教の修道論をパーリ経蔵から厳密に抽出して分かりやすく論じた異色の仏教入門書。4本の学術論文が下敷きになっているが、それを感じさせない読みやすさ!ただ五逆罪・六逆罪について解説したところは、若干、真宗臭が……(気のせい?)。


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