ゲーミフィケーション

タイトルは「ゲーム化」という意味。節電をゲーム化する「denkimeter」を考案した著者が、社会の各所における「ゲーム化」の推進を提唱する。
この議論は、以前「幸せな未来は『ゲーム』が創る」の書評でも書いた通り、私は基本的に賛成している。この辛い現実を、明確化・点数化することで少しでも人々のやる気が出るなら、多少の副作用はあるだろうが、推進すべきだろう。
米国のバーガーキングが、フェイスブックでの友人10人を削除するとワッパーを一つプレゼント、というキャンペーンを行っていたことは知らなかった(pp.49-50)。日本で同じことをしたら、大変な批判に晒されそうな気がする。いいじゃないか、そんな遊び心溢れるキャンペーンがあっても。
ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

IT社会における情報社会論

まさに私の専門に近い分野の本なので、いろいろとアラが目に付く。根本的に、美ノ谷和成とか折笠和文といった、あまり評価されていない人々の業績に頼って情報社会論の整理をするというのは、いかがなものか。それならオレを選べよ(笑)。情報政策についても、もう20年も前の大石裕氏の議論に依存するのはどうかと思う。それから、デニス・ガボールを、デニス、ガボールと分けて書いているのは、2人だと思っているのだろうか(笑)。ちゃんとデニス・ガボールの本を読んだのか?
60年代に官庁でPPBSという動きがあったことは知らなかった。それと、新聞記事の分析は役に立つところがある。それ以外は何ら新しいことはない。これも博士論文だそうだが、ずいぶん甘いんだな。主査の島崎哲彦氏は、むかしよく、田崎先生の研究室に「調査屋」として出入りをしていたのだけれど、本当に立派になられて。
IT社会における情報社会論―情報化社会の歴史的変化に基づいて