パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

かよちゃんの荷物 1

かよちゃんの荷物 1 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 1 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 2 (バンブー・コミックス)

かよちゃんの荷物 2 (バンブー・コミックス)

30歳女子。職なし、彼なし、目に見えないプレッシャーあり。
将来に不安はなくないけれどガツガツいくこともできない、非モテ(でもつい合コンに期待をかけてしまったり)ちょいオタ(といっても現実逃避できるほど没頭しているわけでもなく)な女子の心の機微をリアルに描いている。
弟がお先に結婚しちゃったり、貧乏からジャンクフードに走って丸くなったり、突然生産的な趣味を持とうと思い立って洋裁をはじめたり。何とかしなくちゃと焦ってみせたりしつつも、結局は自分の心のままに生きているかよちゃん。スマートな大人じゃなくても、軽やかに現状を生き抜く姿を見ていると、「なんとかなるさ」と思えてしまう。
こちらが気に入ったなら、高野文子の素敵お一人様漫画「るきさん」もオススメであります。

いばら・ら・ららばい

いばら・ら・ららばい (KCデラックス) (KCデラックス Kiss)

いばら・ら・ららばい (KCデラックス) (KCデラックス Kiss)

子どもの頃から 美しいものが好きだった
未踏の根雪 夕焼けに広がって染まる空 
早朝のバラ つめたい真水 積乱雲
美しいものが 私のまぶたを そっとなぜると
それで私は 泣きたい気持ちに ゆっくりと 溢れていく


うわあぁ、胸をぐっさりやられた。
繊細だけど棘もある。いばらの心を持つ四人の女の子たちがすれ違い、ときに互いの棘に傷ついて、もつれた想いがほどけていく。
自分の容姿にコンプレックスを持つフリーター平良さんのお話に尋常じゃなく感情移入してしまい、あいたた、となった。見て見ぬふりしていた歪な部分をずるっと日向に引きずり出された感じ。なのに、不思議と浄化されたような心地でもある。
こんな自分の知らない自分との出会いが待っているから、漫画を読むのはやめられない。

散る花は影に抱かれて

散る花は影に抱かれて (リンクスロマンス)

散る花は影に抱かれて (リンクスロマンス)

夜見の隠れ里で兄弟のように育った忠影と夏月。ともに厳しい忍びの修行に耐え、鍛え上げられた四肢が若木のしなやかさで伸び行くにつれ、二人の絆は肉親への情と留め置くことのできない熱を孕みはじめていた。しかし、かたや一族を束ねる惣領の子、かたや賤しき下忍風情。揺らがぬ身分の差が二人を、触れることもかなわぬ場所へと引き裂いていく。
王道主従下克上もの。兄>義弟だった力関係が成長して、主(義弟)>僕(兄)へと逆転するところが醍醐味。惣領となった夏月に対してあくまでも恭順の態度を貫く忠影に、夏月のほうが焦れて挑発してみせるのもおいしい。
あらゆるすれ違いと姫君危機一髪の果てにようやく想いが通じ合い、ついにくちづけを…というときに、忠影が「唇を、吸うてもよろしいか」とお伺いをたてたところで萌えがMAX!!主のゆるしなしには触れるもままならぬ、このストイックさ。やっぱり主従関係はこうじゃなくちゃ!
六青さんお得意の“受けへの愛の鞭”も盛り込まれた、雰囲気満点の時代劇。