Q64.【淋しさ】とは何か?

A.【淋しさ】は愛の対象の不足のアピール

 淋しさは、悲しみから評価による分岐をした感情です。
 孤独なとき、愛する者のいないときに感じるのが淋しさです。利他行為の対象のいないことを認識すると淋しくなります。淋しさとは、幸せの反対といえるでしょう。
 泣くこと、活動の停滞、他人の感情への共感性の強化など、悲しみと同じです。
 淋しさの表情と行動は、他の仲間への救援要請としてはたらきます。これにより新しい愛の対象の獲得を促進します。自己の生活の再評価により、行動パターンの変化を促し、不快な淋しさを避けようとます。悲しみと同じです。
 ペットは淋しさをまぎらわすことができますが、これはペットが愛の対象となるためなのです。植木が不自然に多い女性なども淋しさの現れのことがあります。

A.好奇心、競争心、警戒心、愛着心の4つの優先順位

 心理学では人の行動を決める要素を大きく3つに分けます。気質、性格、人格の三層構造を考えています。 気質は生まれつきのものであり、性格は後天的に変化すると考えられています。人格はさらに知識などを含めて考えるものです。
 人間の行動パターンの内で生まれつきで変化しないものが気質です。
 気質は7つの基本感情から理解することができます。7つの基本感情のうち嫌悪は興味の裏返しですので考慮から外すことができ、さらに驚きはその行動に個人差が少ないことから取り除くことができます。残った興味、怒り、恐怖、愛の4つの強さの順位が気質を生み出します。
 そしてそれぞれ興味は好奇心に、怒りは競争心に、恐怖は警戒心に、愛は愛着心となります。人が持つ好奇心、競争心、警戒心、愛着心の優先順位が気質となるのです。
 これはよくいうような性格の分類とは違います。この四つに性格に分かれるというのではなく、ある行動を選択するときどの感情が先に出てくるのかを考えているのです。
 何らかの選択肢を選ぶとき、さまざまな感情が沸き上がり、さまざまな行動へと引きつけられるのですが、身体は一つですから実際にできる行為も一つだけです。ですからどの感情が勝ちやすいのかによってその人の行動が予測できるのです。
 たとえば簡単な例を挙げますと、宝くじで1000万円当たったとしてその後、どう行動するか?
 好奇心が勝てば新しい趣味に挑戦するかもしれませんし、競争心が勝てばさらに投資して増やそうとするかもしれません。警戒心が勝てばもしものために貯金するかもしれませんし、愛着心が勝てば家族のために使うかもしれません。気質を知るとこうした他人の行動予測ができるのです。
 この分析は既存の性格心理学のビッグ5の考えとも一致しています。性格心理学では外向性、愛着性、統制性、情動性、遊戯性の5つが統計により性格要素として取り出されました。
 この5つに対する解釈は次のようになります。
 遊戯性は好奇心、愛着性は愛着心、外向性は警戒心の反転、情動性は競争心、統制性は葛藤処理様式です。
 ここで指摘したいことは、統制性は明らかに他の4つとカテゴリーの階層が違うということです。他の四つは行動の方向性を示すのに対し、統制性はその量に関する要素だからです。
 脳科学にも対応します。脳の神経伝達物質と関連するのです。愛着心はオキシトシンに、好奇心はドーパミンに、警戒心はセロトニンあるいはノルアドレナリンに、競争心はテストステロンの感受性に関連するのです。