イギリスIntercity Express Programmeは日立連合に

 英運輸省は12日、同省が主導するイギリスの新型高速列車導入計画「Intercity Express Programme」に入札していた2つの企業連合のうち、日立などによる「Agility Trains」が優先交渉権者(preferred bidder)に選ばれたと発表。(参考=英運輸省(Department for Transport)の発表Railway Gazette International日立のニュースリリース


 IEPは、以前書いた現在イギリスの幹線で活躍している経年20〜30年の高速列車IC125(ディーゼル、いわゆるHST)とIC225(電気)を新型車両に置きかえるプロジェクトで、電車、ディーゼル、bi-mode(電気/ディーゼル併用)の3タイプの車両を最大で1400両新造することになっています。入札には日立が入る「Agility Trains」と、ボンバルディアシーメンス、Angel Trainsを中心とした「Express Rail Alliance」が参加していましたが、ついに決まりましたね。まあ「優先交渉権」なので、これから先折り合いが付くかどうかですが、恐らく決まりでしょう。

 IEPの入札では、Agility Trainsがハイブリッド車を投入するかどうかが注目されていましたが、予想通りディーゼルタイプにハイブリッドシステムを導入。燃料消費を現在の車両より15%削減できるとのことです。上記の英運輸省のページの一番下からダウンロードできるムービーにも「Hybrid Technology」と謳われています。


 CG動画からキャプチャ。かっこいいのでLet'sダウンロード(zipで57MBもありますが)。


 英運輸省の資料による現行のIC225との性能比較では、最高速度は変わらず125mph(時速125マイル、約200km/h)ながら、ロンドン−エディンバラ間の所要時間は現行の4時間23分から4時間11分に短縮。編成全体(10両編成での比較と思われる)での重量を498tから412tへと軽量化することにより、加減速性能の向上を図っています。大幅な軽量化にもかかわらず、1両あたりの車体長はIC125、225の23mから3m伸びて26mとなり、編成全体での座席数も536席から649席へと100席以上増加しています。計画では、列車は5両編成か10両編成で、2013年に東海岸本線に最初の車両を投入、2015年からグレートウェスタン線をはじめ、各方面の幹線への本格投入を開始することになっているようです。
 ちなみに日立のニュースリリースによると、Agility Trainsとして約2500人の現地エンジニアの雇用を見込んでいるそうです。英運輸省の資料によると、全体ではイギリス国内で12500人分の雇用が確保されるとか書いてあります。イギリス経済にもインパクトのあるプロジェクトということですね。自動車産業を中心に人員削減のニュースばかりが飛び交う昨今ですが、先進国の高速鉄道(と、途上国の都市鉄道)関係の産業は今後の成長分野になるかもしれませんね。

 
 というわけでイギリスは近い将来、ディーゼル・電気ハイブリッド列車の王国になりそうな感じです。鉄道発祥の国であり、日本の鉄道の先祖と言えるイギリスの鉄道に、日本の技術が大々的に取り入れられるというのは素晴らしいですね。
 実車の登場に期待です。


(2/16追記)
 Agility Trainsのサイト。トップページは電車タイプのSuper Expressが疾走するイラストです。「Super Express」のページで上記の動画も見られます。