WBC世界スーパーウェルター級王座決定戦 マニー・パッキャオ VS アントニオ・マルガリート
マニー・パッキャオ VS アントニオ・マルガリート
マニー・パッキャオ6階級制覇への道
アジアの小人を相手にしなかったボクシング界。体格、身体能力共にアジア人ボクサーは敵ではない、アジア人が世界チャンピオンになるのはもう無理なのではないかと思っていた中量級。
フライ級という軽量級からスパーウェルター級という中量級までの10階級を勝ち続けてきたアジアのボクサーが世界最強の称号を得ただけではなく、ことごとくボクシングの常識を覆してしまい、ボクシング界になくてはならない存在になってしまいました。
マニー・パッキャオ
1978年フィリピン生まれ
身長/リーチ:169cm/170cm
57戦52勝38KO3敗2分
アントニオ・マルガリート
1978年メキシコ生まれ
身長/リーチ:180cm/183cm
46戦38勝27KO7敗1No contests
ボクシング界に新たな歴史が刻まれる日になります。それがアジア人ボクサーが成し遂げたということが素晴らしい。
どこから見ても、控えめに考えてもパッキャオが負ける要素が見つからないのですが、かなり個人的な思いをこめたほぼ願いに近いパッキャオの勝利予想でした。
パッキャオにとってスーパーウェルター級という階級がどう影響するか全く分からないのです。パッキャオのデビュー階級はなんとフライ級ですから。
しかも、対戦相手はマルガリート。マルガリートはスパーウエルター級はベストな階級です。
パッキャオは地位も名誉もお金も全て手にしました。パッキャオの精神力を支えるものも、昔のがむしゃらなハングリー精神とは違っているはずです。
パッキャオが世界に名を知らしめたのは2001年、IBFスーパーバンタム級タイトルマッチのリーロ・レジャバ(レーロ・レドワバ)戦でした。
WOWOWでリーロ・レジャバの勝利を確信してみていましたが、個人的にリーロ・レジャバってスーパーバンタム級最強の選手になるだろうと思っていました。
金髪の荒削りのとても下品っぽいフィリピンの貧しそうな選手がまさかTKOで勝つとは思いもしませんでした。
それ以降勝つたびにパッキャオのどこが強いのだろうと考えていました。
単に勢いだけの選手だと思っていましたから。
しかし、ボクシングキャリアを積み重ねるに連れて、防御に攻撃、スピードとパンチ力にタフさが他のチャンピオンより際立っていき、デビッド・ディアス戦以降はパンチを当てる正確さも目を見張るものがあって、強さが頂点に達したのではないかと思いました。
さらに、どんどん体が出来上がっていき階級を上げるたび強さが増して来ました。
階級を上げるということはパッキャオにとっては体格的に不利な点が多々あるのですが、スピードが衰えることなくパンチ力を上げてきたという信じられない身体能力を見せつけてくれました。
これは、階級制を重視するボクシングの常識を覆してしまったことになります。
で、今回はさらに階級を上げてスーパーウェルター級です。実に10階級です。こんなことは今後のボクシング界ではあり得ないことです。
スーパーウェルター級がナチュラルと思われる、ハードパンチャーのアントニオ・マルガリートを相手にした6階級制覇。
パッキャオ、確実に世界最強の称号を得ました。
自身で最強を名乗るフロイド・メイウェザーが遠くかすんでしまいました。
メイウェザーの心境はどうでしょう?マルガリートをボコボコにしたパッキャオ。しかもスーパーウェルター級で勝ってしまった。
メイウェザー、戦わずしてパッキャオに負けたということですね。
もうべつにパッキャオがメイウェザーと対戦しなくてもいいやという感じになりました。マルガリートに勝ったパッキャオはメイウェザーには絶対負けないからです。
今のボクシング界は確実にパッキャオ中心に動いています。
パッキャの6階級制覇は、オスカー・デ・ラ・ホーヤのように計算した6階級制覇ではありません。
パッキャオは6階級制覇したオスカー・デ・ラ・ホーヤをも倒しました。ボクシング史上に最高の形で名を残した6階級制覇者です。
マニー・パッキャオの主だった戦績
-
-
- マルコ・アントニオ・バレラ戦:2戦2勝
- ファン・マヌエル・マルケス戦:2戦1勝1引分
- エリック・モラレス戦:3戦2勝1敗
- オスカー・ラリオス戦:判定勝利
- デビッド・ディアス戦:KO勝利
- オスカー・デ・ラ・ホーヤ戦:TKO勝利
- リッキー・ハットン戦:KO勝利
- ミゲール・コット戦:TKO勝利
- ジョシュア・クロッティ戦:判定勝利
-