本当にありがとうございました。

 新進気鋭のSF作家、伊藤計劃先生が亡くなられた。
 昨日(23日)はてブニュースを見ていたら、漫画家の篠房六郎先生のblogに二桁のブックマークがついておりまして、なにやら珍しいこともあると思っていたところ、今朝のはてブで、伊藤先生の逝去についてのエントリーを発見したのです。
(→篠房六郎日記:http://cgi.din.or.jp/~simofusa/cgi-bin/jinny/
 インターネットの世界に、blogやはてななんてものがあることを知った数年前、主に映画についていろいろな意見を見て回る中で、僕は偶然伊藤計劃さんのblog(当時は「SPOOKTALE」というサイトをやっておられた。)に会いました。その時は「リベリオン」か何かについて書いてあるエントリーで、その文章に上手さ、視点の鋭さに唸らされました。何より僕が先生のファンになったのは、やっぱり伊藤先生が好きなもの(押井守とか、リドリー・スコットとか、ボーンシリーズとか、数々のディストピアもの映画など)が僕もスゴく好きという単純な理由で、会ったことも無い人にこんなにもシンパシーを感じるものかと悶々としてしまいました。(残念ながらMGSとか、同人誌までは手が回らず。)
 blog主としておもな活動の場をはてなに移してからも(伊藤計劃:第弐位相/http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh)、先生のblogは度々訪れる場所となり(当然アンテナに登録)、様々な事柄について感心させられたことが何度もありました。僕のブクマには氏のエントリーが数多くあり、この歳になってこんなに他人から影響を受けることがあるかと思うほどでした。
 最近の伊藤先生の活躍はまさに眼を見張るもので、日本において「SF冬の時代」にあって、久しぶりに登場した新たなる才能として、息の長い活躍を期待しておりました。blogの書き手がプロの作家さんになられるさまを近く(でもないか)で拝見できたことは、大きな刺激となり、1年になろうとするこのblogもこうした出会いを経て、今があると思っています。
 いつもROMっているだけで、自分から接触したこともない人物が、こんなねっとりとした文章を書いていると、まるでストーカーのようですが、身近な人の不幸とは違ったショックを受けたことを、何かの記録に残しておきたいと思って、勇気を出してこのエントリーを書いてみました。
 今年に入り更新がほとんど無くなったこと(http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20090107#p1)、自らの病状に関することが多くなっていることには、密かに心を痛めていましたが、ついにこの日がきてしまったと言う感じです。先生には、ぜひ「WATCHMEN」について語っていただきたかった。そのことが実現できなかったことが残念でなりません。
 これからは、先生の紡ぎだすさらなる楽しいお話に接することはできなくなりましたが、末永く先生の残した著作を大切にしていきたいと思います。
 あと、偶然にもこのエントリーを読んでくださった方は、まずは先生のページを訪れて、その世界を堪能していただきたいと思います。(書き手を失ったblogはいつ無くなるかわかりませんから。)それとできれば、彼がネットに残した言葉を何かの形で保存していただけると、いちファンとしてうれしい限りです。
 伊藤計劃先生、本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りします。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

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ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

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METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS

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