大阪の建築(その2)

大阪の建築紹介その2です。

今回は、新井ビル と呼ばれる
民間のオフィスビルです。

敷地は、大阪証券取引所のある「北浜」
から少し南に下った大通り沿いにあります。

なぜ この建物を探訪したか?

二つわけがあります。

まず、河合浩蔵さんが設計した建物であること。
もう一つは、1階に GOKAN というお菓子屋さん
が入って、みやげを買うのに都合がいいこと。

ナンダ ちっちゃい普通のビルじゃない という感想。
ガイドブックで調べていかないと 見逃しそうです。

設計者の河合浩蔵と 僕は設計の仕事上必要があり
河合さんの作品をかなり見て回って
参考にさせていただたいた関係上
ひいお爺さんの様な親近感があります。

河合さんはもともと役人で
国家の威信をかけた建物を設計するため
ドイツに留学するなど 明治のエリートでした。
その後 自身の設計事務所を神戸に開設して
関西に沢山の作品を残しています。

作風は、しっかりと古典を学んでいるので
フォーマルでどの作品も背筋が伸びた姿です。
かといって 肩肘張ったわけでもないし
辰野風ルネサンスの様に稚拙なわけでなく
押さえるところを押さえた 大人の仕事です。

新井ビルを例にとると
大筋で古典の基本中の基本を押さえていて
いわゆる三層構成で左右対称。
一番下の基壇が石で 中間のシャフトがタイル
頂部の中心にはメダリオンという飾り物があり
小さいけど堂々としてます。

色も写真で見るより渋く
フォーマルスーツの感じです。

近くによるとエンタブラッチャー 
柱や梁のディテールも
本格的でキチンとした仕事です。
が基本のマンマじゃなんですね
プロポーションをくずして捻りを入れ
柔らかい感じを出しています。
ものの本によれば ゼゼション
そう ウィーンで流行った様式というか
流れを取り入れている。
習字とかでいう真行草のうち 行に当たると考えても遠くはない。
ある意味 数寄屋の精神でアレンジしてる
わけです。
というわけで 柔らかい感覚があるのです。

通りから半階上がった1階には
お菓子屋が入っていますが
窓からの採光が取れていて明るいし
柱割りも大きく 広々した印象です。
主要なインテリアも残っていて
いい感じです。

渋い風貌で暖かい心を持った老紳士という
感じで
また来たくなる魅力があります。

おみやげのロールケーキの評判も上々なので
大阪にお越しの節は是非
お薦めです

お店のHPでも 新井ビルの紹介があります
http://www.patisserie-gokan.co.jp/news/2008/04/000322.php

では