「天元突破グレンラガン」 でもごめん…一番欲しいのはDVDなんだ…

 

 

天元突破グレンラガン 1 (電撃コミックス)

天元突破グレンラガン 1 (電撃コミックス)

天元突破グレンラガン 1巻
 
 2007年の大本命。「Fate/stay night」や「空の境界」などの作品の原作者として知られる奈須きのこ氏も自らの日記で絶賛したアニメ、「天元突破グレンラガン」。それをコミカライズした作品です。
 
 あのアニメ最大の持ち味は一体なんだったのか?それは徹頭徹尾貫き通したハッタリ演出と、圧倒的なスピード感、そしてスケールを兼ね備えたシナリオの展開でしょう。クライマックスが2つ3つ用意されてる話さえあります。しかも話は1話進むごとにスケールアップしていき、視聴者のテンションもどこまでも上へ上へと燃え上がっていく展開。中にはそういった展開が姿を見せず、非常に停滞感の強い話が続くこともありますが…そこからの爆発的な脱却が、更なる高みを目指して駆け上がるシナリオへとマッハで加速しながら繋がる訳です。25話辺りで気づきましたね。私が観たかったアニメって多分正にこれだったんだろうなぁと。
 
 そんなこんなでグレンラガンにすっかりゾッコンな私がこの漫画版に求めたのは、 
・原作を見てて燃えた演出が熱烈に再現されていること
・漫画という形態の都合上カットした部分の意図が同意できること
・コマ割りにメリハリと迫力があること
・表紙の作画クオリティが常時保たれていること
・原作への愛が感じられること 

といった要素たちでした。他メディアがコミカライズされる際に、私はどうしてもこのような要素が気になってしまうのです。漫画版をただのファンアイテムとして扱えるような性分ではなく、またシナリオをなぞられているだけで満足できるほど寛容でもないのです。
 さて結論から言うと見事です。この漫画には確かに漫画家の熱いソウルと巧みな漫画技術が存分に含まれています。アニメ3話の中盤、すなわちグレンラガン誕生の瞬間までを描いた話でこの単行本は終わるのですが、その最後の収録話が特に素晴らしい…。あの感動が蘇る、いえむしろ「再体験する」と表現した方が正しい位にソウルフルです。愛…そう!これは作者の愛なのだよ!
 流石にアニメの動的な迫力は表し切れていない感がありますが(尺の都合から大ゴマを多用できないって一因もあると思う)、この漫画版は思わず顔がほころぶほどの大成功です。強いていえば、冒頭のブタモグラで脱走を試みるシーンで、もっと盛り上げてから失敗フラグを立ててほしかったかなぁ。ハナっからクライマックスかよ!ってテンションが好きだったので。
 
 複数の漫画家から寄稿された4コマ漫画も秀逸です。それはもう素直に視聴者目線でパロディしてて、かつ4コマ目でちゃんとオチてます。そんなオマケも含めてグレンラガンって本当に愛されてるな、と感じさせる一品。次の巻もぜひぜひ買わせて頂きます。
(2009/10/20画像追加)