『ボーン・アルティメイタム』

テレビで鑑賞。



【ストーリー】
ボーンがCIAの追跡をかわしながら自分の正体と陰謀を解く。
第一幕:オープニング〜サイモン・ロスの死まで
第二幕:ダニエルズの逃亡〜ランディに書類を渡すまで
第三幕:訓練所に入る〜ラストまで
三部作の完結編なため、物語自体のバランスはそれようの歪さがあると思う。


【見所】
CIAの組織戦とボーンのアクション。


【感想】
シリーズを観ずに、完結編だけ観て楽しめるか?
結論から言えばそこそこ楽しめた。


世界的に暗躍するCIAとボーンの「最強の組織vs最強の個人」の戦いの完結編だけあって、余計な説明が全部省かれているけれども、人物配置はかなりハッキリとしているので、序盤の「何のために追われているの?」という部分を飲み込むことができれば、あとはノンストップのアクションが楽しめた。


この映画は「むちゃくちゃ暇で、世界的にむちゃくちゃできるCIA」という設定をどれだけ説得力を持って描けるかにあると思う。その点では、陰謀論的に語られるエシュロンのようなものを効果的に使って、出来る人間が「マンハント」をするという筋書きをテンポ良く描いている。また、CIA側とボーン側を交互に描くことで、圧倒的な包囲網をするっとすり抜ける面白さもあった。


ただ、やはり『ミッション・インポッシブル』辺りと比べると派手さがないと思った。徹底したリアル志向はわかるのだけれど、中盤の見せ場が黒人の諜報員とバトルをするだけというのは、物語的な見せ方としてどうなのかなと。せめて、あの黒人がボーンと同じくらいの殺人マシーンであることを示しておかないと、あまり盛り上がらないよね、と思う。シナリオ的なことを言えば、中盤にこれ見よがしに黒幕描写が出てきたけれど、あれ長官ってバレバレやん。もっとどんでん返しがあるのかな〜と思ったら、そうでもなかったし、ニッキーもちょっとだけ手助けしただけで本筋に影響与える存在ではなかったということも完成度に疑問符がつく。


CIAの人たちが人混みの中でも正確に目標を追いかけるのは、そういうスキルがあるのかなぁと持ったり、それにしてはCIAの建物に意外にすんなり潜入できるよねとか、色々と「あれ?」と思う部分があった。特にCIAの建物にあんなに簡単に潜入できるのは、リアリティ的にはどうなんだろう? (ミッション・インポッシブル3で相当苦労していたような気が……)どっかのビルから覗き見できるというのも、本当に諜報機関のビルなのかと。一方、悪役を演じていたノア・ヴォーゼンは「CIAの血も涙もないキレるボス」みたいな役周りで良かった。ラストにかけて異常にへたれてしまうけれど、あれは相手が悪かったよね。


アクションはやはり相当凄い。暗殺格闘というこのシリーズのキモの部分はとても良かった。序盤のイギリスの駅で、邪魔な奴を一発でノックアウトしていく描写など、ボーンの超一流さが良く表現できていると思う。カーチェイスも派手でぶつけたり回転したりパトカーを奪ったりと、かなり目新しい。


個人的にはそれくらい。やっぱり、シリーズを知らないで見ると、感想を書くのも難しいなと思った。