手塚オタ実況民から学んだ、和登サンとブラックジャック「快楽の座」
昨日の夜10時ごろにTVのチャンネルを回して、たまたまNHKの『プレミアム10「手塚治虫 漫画 音楽 人生」』を見てました。
事前には全く知らなかったので、途中からしか見れなかったのが残念です…orz
で、その番組の2chの実況スレに参加しまして。
他の漫画オタク・手塚オタクさんたちと共にカンカンガクガクで有意義なダベりを、放送終了後の1時間くらいまでずっとやってました。
個人的に興味深かった議題が
「『三つ目がとおる』の和登サンが、他の手塚女の子キャラより抜きん出て萌えるのはなぜか?」
数ある議論の中、
「従属と保護の両立」
という指摘にナルホド!と思いました。
たしかに、ダメダメな写楽をいつも世話してあげてお風呂の世話までしてあげるし、バンソウコウを外した写楽でも「俺の嫁さんになるんだ!」と躍起にさせてしまうほど写楽は和登サンに「保護」されています。
その裏でいつも和登サンは写楽に従っているんですよね。特にそれはバンソウコウを外した写楽の態度に反感もしつつ行動を共にすることにも表れてます。
傲慢だけど天才でもある写楽の実力を魅力的にも思って従うけど、その天才の気が抜けたら母のように世話してくれるしイジメを仕掛けるヤツも撃退してくれるほど自分を守ってくれる。
それゆえ写楽も頭があがらない。
それにボクっ娘だし、セーラー服だし、お寺の袈裟姿も結構アデがあるし、お風呂にも入ってく(ry
あー、これは好きになるよなぁ。
くぅぅ、やっぱ詳しい人達と色んなダベりをするのは楽しいスなぁw
閑話休題。
そんな議論もあったなか、そのスレに今回の記事のタイトルの作品を紹介したコピペがリンクされてたんです。
連載していた雑誌の少年チャンピオンでのみ掲載され、そのストーリーゆえ単行本には掲載されていない「幻の回」だそうです。
本編の内容は上のリンク先を読むだけでもかなーりドギツい。
漫画本編全てを知ることは出来ないんですが、詳しいストーリーを解説してくれているサイトが上とは別にありました。
快楽の座・ストーリー(前半)
(ページ下部のリンクからサイトを逆にたどっていくと「快楽の座」に関する様々な考察も掲載されていて面白いです)
簡単にいうと、鬱的な感情が出るたびに脳の快楽中枢を埋め込まれた機械によって刺激され、無理やり笑顔にされてしまう青年の物語なんですが…
このサイトの
悪いこと(相手を傷つけること)をして 罪の意識に苛まれて暗い気持ちなると、逆に スチモシーバーが 自分に快感を与えてくれることを知ってしまったのだ。
精神的に矛盾しており、憂鬱どころか 理性のほうが消し飛んでしまって、自分の行動を制御できなくなっている 大変 危険な状態なのだが、誰も まだ そのことに気づいていない…。
という解説を読んだ時には、もう戦慄したっつーかガクブルでした。
理性が「やめろ!」と叫んでも、機械がそれを快楽に変換して罪の意識を感じれば感じるほど罪を面白いと思ってしまう…
これがホントの「無限ループって怖くね?」ってヤツですよ。
「無理やり笑わされる」ってだけでも十分サイコホラーなのに、更には機械という要素でひどく合理的に「快楽殺人」を発生させて、その恐ろしさを当人の内面とは違う別の方向で描いてしまう。
やっぱ手塚先生ってスゲーわ。
精神病や人体実験的な面を取り扱った…ってだけじゃなくて、ここらへんのサイコっぷりが恐ろしすぎます。単行本に未収録なのも頷けます。
なにより、サラッとこういうコマ挿れちゃう手塚先生がこえーよ!
ギャー!この目とウワーイと開いた口は!悪趣味すぎる!
もちろん他の手塚作品においてこういった目を描くこともあるんですが、それはあくまでギャグ的な意味で純粋に描かれているのでその場合は気味が悪いわけではありません。
むしろその手塚治虫独自のユーモラスな絵柄でもって、狂気性をはらませる。
これがドス黒すぎの気味悪すぎのなんのって。
本来ひょうきんもののピエロがホラーのキャラクターとしてよく使用されるような、あれと同じ種類の「ギャップから来る気持ち悪さ」ですかね。
いやー、BJはほぼ一通り読んだことがあるので「快楽の座」の名は知ってたんですがこれほど恐ろしいモノだったとは、今まで知りませんでした。
ただ確かに恐ろしいんですが、やっぱりこの作品からも「個人感情の尊厳」とか「人体改造の末路」みたいなテーマを感じ取れる深い一話だと思います。
「怪奇大作戦」の「狂鬼人間」が有名なように、このテの精神病モノは封印されることはもう当然のような感じです。
しかし現実に存在するテーマでもあるわけですから、なにかしらの規制条件の上で読めたりするように出来たらいいと思うんですけどねぇ。