ルサンチマン 小学館   花沢 健吾           

               

雑誌連載中に、ルサンチマンという題名に目をひかれて読みました。


この言葉を最初に知ったのは学生時代、哲学の授業だかなんだかで知りました。ニーチェだったかな。結局よく意味はわからなかったんですが、要するにじとっとした恨みの感情(もてないもの=労働者がもてるもの=貴族に対して抱く妬みまじりの憎しみ)と理解していました。


二度目に目にしたのが怨念戦隊ルサンチマンという自主制作映画でした。(山本寛さんも神前暁さんもいまや涼宮ハルヒで有名人ですね)これはオタクどもがカップルに腹いせするような内容だったわけですがこの漫画でも主人公がデブ、チビ、ハゲ、眼鏡のあまりにもどうしょうもない設定になってます。
しかし作中では題名のように恨みの感情を主人公が誰かに対して持つわけではなく単にもてない度合いを強調するためにつけられた名前であろうと推察されます。


主人公=たくろうは現実世界で彼女を作ることをあきらめ、仮想現実にはまっていきます。ギャルゲーがここまで一般化している現在、かなりスムーズに主人公に感情移入できるのではないかと思います。ここで出てくるMMORPGアンリアルはなかなかよくできています。近い将来現実でも似たようなものがでてくるのではないかと思います。(もうすぐときめきメモリアルOnlineというのが出るらしい。)


このたくろうがネットに入り込んでいる最中を現実から描写するシーンがたびたびあって笑うべきところなのですがどうにも笑えないんですよね。 非現実にひきこまれて堕落していく様の描写が秀逸で、“わかるよ、わかる”って感じですね。それに月子というキャラクターもなかなか魅力的にかかれています。個人的には3巻の髪の黒いのがgood


さて材料として非常におもしろいものをそろえてはいますが、ストーリーは終盤でどうも収集つかなくなった感じです。中盤まで面白かっただけにちょっと残念です。(打ち切りだからしょうがないといえばそれまで、、)この作者にとっての最初の長編作品なので、もう少し経験をつんでこれをかいたらもっとすごいものができていたきがします。エンターテイメントとしての完成度はあまり高くはないのですが、個人的に大好きな漫画です。


下記のレビューが非常にすばらしいです。
    http://mangaen.blog30.fc2.com/blog-entry-70.html