とある飛空士への恋歌 5

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)

読了。

かつての憎しみも、いまの愛おしさの前では寂しい塵芥だった。吹きすさぶ風のなかへ爆ぜる火の粉みたいに、虚しく時の彼方へ溶け去ってしまう。憎しみなんて、こんなにもちっぽけでくだらない感情なのだ。もっと力強く、優しくて、凛々しく気高い感情が自分のこころに宿っていたことをカルエルは知った。


うん。良かったです。
でもなんというか、放映終了後のOVA、エピローグ後のひと騒動といった感じ。やはりあのヒリヒリするような空戦が一番盛り上がったんだなあ……。というより、あの空戦が強烈な印象だっただけで、この巻も上手くまとまっているとは思います。ただ、あまりに舌が刺激に慣れすぎてて味わいが分からない、といったところ。
例えば、249頁「ぼくはニナ・ヴィエントを愛している!」 のくだりも熱狂的で、そこから始まる再会の波状攻撃で涙腺が緩んだところで、277頁「彼がどれだけ多くのイスラの人々を助けたか」 で完全決壊だったりで、非常に良かったです。波状攻撃のラストにがくんと段差を落としてくるとか鬼畜すぎるわ……。


けっきょく、”光の壁で分解されたら聖泉で再構成される” とか、そういう構造なのでは……なんて思いましたが、まあ些事ですよね。