『魔法先生ネギま!』#1〜16 赤松健

初回限定版 魔法先生ネギま!(16) (プレミアムKC)
★★★★☆
長い間…おれはこの『ネギま』って漫画が苦手だった…。「美少女がワンサカ31人!」って謳われても…どいつもこいつも量産型ジムって言うか…見分けがつかないって言うか…。それにハピマテ祭りとか外部の騒動もネガティブで…オタクの欲望を扱いてジャラジャラと金を奪い取る阿漕な商売にしか見えなくて…。
しかしものは試しと読んでみると、これが結構なかなかどうして、いやいや面白いじゃないですか!何より驚いたのはその実態が設定煮詰まり系漫画だったことです。「設定煮詰まり系」ってのはあれです、巻末に物語世界の年表が載っている『F.S.S.』であるとか、用語や登場する火器の解説だけで一冊本になる『アップルシード』であるとか、80年代末から90年代初頭に多く見られたオタク向け作品のことです。この『ネギま』はチラ読みする限りではそういった諸作とは程遠い、ナンパ極まりないパンチラ(あるいはパンモロ)漫画に見えます。しかし徹底したサービス精神から恋愛、友情、ショタ萌え、魔法に格闘技、古典の引用や衒学薀蓄と大量のネタを投入しハイブリッド・レスリングを続けた結果、先行する設定煮詰まり系漫画と同種の内容と強度を備えるに至っています。だから読んだ時の感触はどこか懐かしく、これは今時のナウでヤングなビートキッズだけでなく、むしろいい年こいてオタクを続けている僕様ちゃんのような人間にこそ受ける作品ではないか、そんなことを思いました。
しかしまあこの漫画の本当の面白さはもっと他の部分にあって…何ですかって…そんなもん美少女が31人登場することに決まっている…決まっているだろうが…!可愛いあの娘やこの娘とワーキャーワーキャー、修学旅行に終わらない学園祭。楽しすぎる…楽しすぎるだろうが…!量産型ザクとか言っていたやつは腹を斬れ…!