おまけ組『おばちゃん信用金庫』はどこにあるのか?

ぺんぎん堂の飯島です。意見は、私個人のものです。

立冬 第五十六候『地 始めて 凍る』

 最近、コメントをいただくことがあります。ありがたいことだと思います。つい先ごろも、『空の辞典』の著者の小河俊哉さんからコメントをいただきました。ありがとうございます。
 そこで今日は、東の空の写真を撮るときに、入念に。アイフォンの6プラスは、大きい分、安定はあるように思います。雲の感じは良くでたようにも思うのですが、自分で言っていれば世話はないです。

 銀杏が旬。殻を割って、翡翠色の実を口にしたときの不思議な味わいが思い浮かびます。
 今日の珈琲は「ブラジルプラスマンデリン」です。軽さを感じました。

 安倍首相がプーチン大統領と会談したので、ぐっと生活レベルからのロシアへの好奇心を満たそうというつもりで取り上げた、井岡美保著『ロシアと雑貨~ラブリーをさがす55の旅~』ですが、コメントいただいた流れで、掲載されている写真にまず関心が向きました。



 写真は、いわゆる「ブツ」を撮ったものが加藤新作さんという写真家で、ページ数が奥付にありますが、それ以外は著者の井岡さんがお撮りになったものだということです。基本スクエアーフォーマットで、コダクローム風のカラーが、ロシアだなー(コダクロームはロシアのフィルムではありませんが、アメリカっぽくないように感じます。私は)、と思え、おそらくは、ハッセルブラッドか、ローライではないか、多分(期待も込めて)ローライコードのシリーズのいずれかだと良いのに、という、勝手な思い込みで眺めました。
 フランス人に人気のロシア観光だそうですが、歴史的に考えると、ナポレオンとの戦争はありましたが、それぞれの王朝同志には深い関係もあったと思いますし、ロシア宮廷でのフランス語使用など、そうだろうと思えるところはありますね。
 著者は奈良の奈良町でカフェ『カナカナ』http://kanakana.info/を営んでおられるとか、むかし、ならまち女性活動センター(男女共同参画云々だったか)の視察に行った記憶があります。二十年以上前だったと思いますが、京都とは違った、趣のあるまちでした。そういえば、『依水園』http://www.isuien.or.jp/の中にある『寧楽美術館』には、個人的にも何回か足を運んだ記憶があります。庭園の方の記憶はないのが不思議なんですが。近くの陶器屋さんと喫茶店は覚えているのですが。
 政治とは違う目線でロシアをという思いで手にした本書でしたが、ラブリーなロシアの魅力と違うご紹介になり、すみません。


さて、今日の本題は、グローバリゼーションの中でのものの考え方の、これまたちょっと違った切り口についてです。

タイトルから浮かぶのは?

 「勝ち組」でもなく「負け組」でもない、いわば「おまけ組」という共生コミュニティー『おばちゃん信用金庫』を、岐阜県の小さな(本書による)国際NGOにつとめていた著者が、南インドのスラムのおばちゃんたちと一緒に創ってしまうという物語です。
 あなたは、原康子著『南国港町おばちゃん信金: 「支援」って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方』のタイトルから何が思い浮かびますか。



 著者自身も、本書を、「タイトルに『南国港町』とあれば、バンクーバーコペンハーゲンが舞台だなんてまずあり得ないと思われる方は多いだろう。また『おばちゃん』というタイトルがつけば、著者は女子大学生ではないと感じられる方も結構おられるのではないだろうか。」と書き起こしています。
 そして「どちらもアタリ。」とも。
 でも、私が本書のタイトルから思い浮かんだのは、きっとこれは、土佐は高知の、とある港町の、ローカルな信用金庫、漁師のおかみさん、おばちゃんたちがつくった信用金庫の物語で、まさに「地方創生」だよ、これは、という、ものでした。だって、南国といえば土佐で、それを後にして都に出てくる、ペギー葉山さんの歌が、「南国」といえば「土佐」、で、刷り込まれた世代ですから。まさか、これが、南インドの港町、ビシャカパトナムの物語とは思わなかったのです。

 さらにいえば、「援助しない技術」なるものを身につけて、次第に「お節介なおばちゃん」になっていく話でもあります。こういう本を著者が書いたのはなぜか。別に人がとやかく言うことではなくて、ご本人が語るところは、二つ、一つは、たくさんの立派ではないエピソードを通じて、日本と日本人の国際協力やらの立ち位置がわかるだろうこと、二つには、安全保障や経済やらで、日本も注目するインド、そこに「おまけ組」とも呼ぶべき、成長神話とは異なる、もうひとつの社会モデルを、したたかでたくましく生きるおばちゃんたちが「おばちゃん信金」としてつくりだした、その姿に、明日の日本を考える、アベノミクスとは違うヒントがあるのではないかという思いがある、これは私の推測も交えて、そんなふうに思えるのです。
 あまり大げさに考えず、肩の力を抜いて、どうぞ。一種の解毒剤になるかもしれません。
 

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