道東の夏休み〜カントリーロード〜

森のカフェは谷村新司さん率いる団体さんと、エコバスの乗客さんで少々こみあってきた。

私は一番奥の大きいテーブルにすわっていたら、あるご夫婦が「混んでるからここいいですか?」ときて相席になった。

とても雰囲気のいい気さくな方で、どうやら私くらいの娘さんがいらっしゃるようで、自然とお近づきになれた。お二人は北海道の方で、お家は別にあるのだけどこの近くに最近セカンドハウスを建てたそう。
それで週末にこちらに滞在したり、車でいろいろ旅行されているそうだ。わたしは午後にエコバスで回ろうとしてるルートを話したり、本当はタクシーで裏摩周のほうに行きたかったけど携帯も通じないので諦めたと言ったら、
「そのバスに乗らなくていいなら、よければこれから車で案内しますよ。裏摩周のほうも、あとオンネトーっていうすごいいい所あるから、そこ見せたいなぁ。」と。

ほんとですか奥さん!!!

(、とは言ってないけど、その瞬間わたしはキキの気持ちになりました。)

なんと、すっかり諦めていた裏摩周への道が急にひらけて、ほんとうにびっくりした。
そもそもわたしは、裏摩周の神の子池の写真をみて、今回川湯温泉に泊まろうと決めたようなもんなのだ。

これがご縁というものなんだなぁ、と感動した。

「じゃあさっそく行きましょう」とカフェをでて車にのり、走り出す。あぁ、まさかまさかほんとに裏摩周にいけるなんて!絶対そこに行きたい、というより、こういう形で叶った事が嬉しかった。すごいすごい嬉しかった。

車の中ではジブリの曲がずっとかかっていた。もう、素晴らしすぎて、自分にぴったりのご縁すぎて、ひたすら感動。

それから車で半日まるまるかけて案内してくださった。




神の子池 この時期はアブがすごい!影のようについてきました。


北海道夏の風物詩、牧草ロールを積んだトラックがはしっていた。(写真にはないけど)

雌阿寒、雄阿寒岳が歓迎してるね、と奥さんが言った。



いそげいそげ、陽がおちる

美幌峠到着!屈斜路湖を望む。(ちゃっかり写真とってもらう。)




どこからともなくお花の甘い香りがする美幌峠の空気。



夕食の時間をだいぶ過ぎてホテルにもどり、フロントでペンをかりて、住所を交換した。
車が走ってゆくのを心をこめて見届けた。
時間がなくてログハウスにはお邪魔できなかった。ログハウスでまつわんちゃんに会いたかった。今度はログのほうに泊まりにきてね、といってくださった。

夢のような一日だった。


ウルトラCを決めたような余韻のまま、わたしはホテルちかくのお土産物やを散策した。
すると1軒だけ、雰囲気のいい木彫りの小物を扱うお店があった。お店の女性の姿がみえ、なんだか上品で素敵だったのでふらっと入る。

小物をみながら、「ひとり旅ですか?」と話しがはじまり、今日のことを意気揚々と伝えると「良かったですねぇ。それはお姉さんの雰囲気がよかったからだと思いますよ」といってくれた
笑顔の素敵な店員さんで、話していて共鳴するものを感じた。心の振動がつたわっていくような。静かなるわくわくは空気感染するような。

途中で他にお客さんがみえたのでお話は中断したが、わたしはフクロウのキーホルダーが気に入った。フクロウはエンジュという木(マメ科)で作られていた。エンジュは毎朝近所の家で育っているのを見ている木だった。楕円形の葉っぱが二つ折りの状態から開いていく様がすごくかわいくて、なんの植物だろう・・と思っていたら、代官山の街路樹に同じ葉っぱをみつけて、これが「エンジュ」という木なのだと知った。
ことばの響きがすごく気に入ってえんじゅさま、えんじゅさま、とつぶやいたりしていた。(一人っ子のひとりあそび。)
「延寿」とも呼ばれてとても縁起のいい木なのだそうだ。

えんじゅさまの縁を感じてわたしはフクロウを数個買った。
店員さんは何も言わず少しディスカウントしてくれた。

なんだか、いいことばかりだ!今日は、ミラクルCだ!

部屋にかえり、一日のことを思い出すと、朝この部屋をでた時にはこんな気持ちで帰ってくるなんて思ってなかったなぁと不思議に感じた。嬉しくて、やったやったぁ〜〜!とベットの上でジャンプした、31歳!

思えば、わたしの集中力(というか緊張感)はここで切れてしまったようだった・・。

つづく

(ちんぺーさんの行方は誰もしらない)