ハンドアウトと今回予告を書く
いや、丁度今ギニ(id:adeliaepeng)がアリアンロッドのシナリオを書いていて、ハンドアウトと今回予告について話したもので。
とりあえず前にちょっと書いたことと同じようなことを話したので、とりあえず引用してみよう。
「初めてGMをやるならば」より(http://d.hatena.ne.jp/baldhead/20041130#p1)
「FEARゲーシナリオの作り方」より(http://d.hatena.ne.jp/baldhead/20041015#p1)
よく「FEARゲーは今回予告とかハンドアウトとか書くの面倒臭くないか?」という話があるが、それらの持つ意味を把握し、かつルールブックやサプリメントに記載されているそれらの書き方について読んでいれば、面倒臭いという発想にはなりづらいような気がする。
今回予告やハンドアウトはそのセッションの導入や進行、プレイヤーのモチベーション維持を助けるものであるから、無いよりはあった方がいいものだ。(システム側で推奨はされているが、別に義務づけられているわけじゃない。まぁそもそもゲームで義務づけという言葉もおかしなものだが)
また、分量や形式については書き手(つまりGM)に一任されている。要は伝えたい事が伝わるだけ書けばよい、ということだ。
例えば「今日はゴブリン退治だよ」という開始前の一言でも今回予告たり得るし、「君たちは**の街にいて、パーティーを組んだ状態から始まるよ。冒険者の店から依頼を受けることになるからよろしくね」という宣言は、PC共通のハンドアウトとして機能するのだ。このくらいの分量なら、初めてGMをやる上でも負担にはならないと思う。
で、今日話した内容というのはだいたい以下のような感じ。
●今回予告やハンドアウトがある場合、必ず用意する。
・シナリオのイメージと各PCのモチベーションを確認することが出来るので。
・またこれらはGMがPLにどんな事を期待しているのかを示すことが出来、イメージのすり合わせの助けとなる。
→セッションの方向性はシリアスである、とか
→このPCにはヒロインを助けてあげて欲しい/敵を倒して欲しい/謎を追って欲しい/などなど。
→場にそぐわないPCを出そうとしているPLに「ハンドアウトを百遍読め」と言い、事故率を低くすることが出来る。
- 今回予告やハンドアウトを小説っぽく書く必要はどこにも無くて、箇条書きでもOK
- 大切なのは形式では無くて中身であり、GMの意図がより正確にPLに伝わること
- ここでのGMの意図というのは、シナリオの雰囲気やストーリーの方向性、そのハンドアウトのPCに期待すること、など
- 今回予告とハンドアウトの「書き進め方」には何通りかある
- キーワードから組み上げる書き方
- シナリオに登場するキーワード(地名、人名、アイテム名などなど)を書き出してみて、今回予告をイメージしてみる
- PCの枠に合うキーワードを振り分けてみて、ハンドアウトをイメージしてみる
とか何とか。
……あまり役に立たない感じだな。
ていうかこの話したの自体、ギニが今回予告もハンドアウトも書き上げた後だったしw
肝心の出来は本人が心配しているほど酷いものでは無く。というか普通に出来上がってたがなぁ。
リサーチフェイズ
リサーチフェイズの書き方について相談を受けたので、ちょっとここでも書いてみることにする。
オフィシャルのサポートに基づいた指針のようなものを示す内容で、「必ずこうしなくてはならない」というものでは無いので勘違いしないように。
今ここで話題にする「リサーチフェイズ」とは、トーキョーN◎VAシリーズの用語である。
最新版のルールブックである『トーキョーN◎VA The Detonation』には、以下のような記述がある。
「キャスト」というのは、N◎VAにおけるPC(プレイヤーキャラクター)の呼称。
▼リサーチフェイズ
コンフリクトを解決する方法を調査するフェイズである。基本的のは他のキャストと出会い、倒さなければならない相手を確定し、どうやって排除するかを決定するフェイズだ。
「コンフリクト」というのは、同じページにある「オープニングフェイズ」の説明によると
- キャストが解決するべく用意された様々なコンフリクト(対立や争い、トラブル)
ということになっている。
また別の箇所ではこのように説明されている。
アクトは始まった。だけど、誰が悪いんだろう。倒さなきゃいけないのは誰なのか? 守るべきなのは……。
それを確定してキャストが解決しなければいけないことを決めるのが、リサーチフェイズ、情報収集のフェイズだ。また、他のキャストと出会って多方面からの情報をすり合わせるのもリサーチフェイズの大事な役目だ。
また、サプリメント『ストレイライト』収録の「ルーラー講座」では以下のように書かれている。
●リサーチの目的
もちろん、キャストが出会い、必要な情報を整えること。アクトがクライマックスに至ることができるように誘導するのがリサーチフェイズの目的だ。
ちなみに『ストレイライト』の「ルーラー講座」の素晴らしさに関しては発売時に触れた。(http://d.hatena.ne.jp/baldhead/20041112#p1)
個々の項目に関してはもっと細かく書いてあるんだが、そこは実際に読んで欲しい。
■リサーチフェイズ
リサーチフェイズは、もっともバリエーションに富んだ部分である。アクト中、もっとも長いフェイズでもあり、通常、メインアクトの半分〜3分の2程度はリサーチフェイズになる。
したがって、リサーチフェイズで行うことは多い。基本的には、以下のようなものだ。
- ストーリーについての情報を出す
- 判定をする
- キャストが合流する
- モチベーションを高める
- クライマックスに繋がる
リサーチフェイズの書き方のみならず、進行のさせ方にも触れられているので、参考にしてみると良いのではないだろうか。
さて、リサーチフェイズの書き方と進め方に関するTipsはこのように基本ルールブックやサプリメントを読めば十二分に書いてあるので、自作シナリオを書こうとする際にはまず一読することをオススメする。
同時に、これらに書いてある事柄にこだわりすぎて悩んでしまい、頭や手が止まっても仕方ない。
まぁ、とりあえず読んでみてピンと来た部分だけ取り込んでみるのが良いのではなかろうか。
大事なことは
“リサーチフェイズは、単なる情報収集パートではない”
“リサーチフェイズは、ルーラーからプレイヤーに一方的に何かを投げる方式では成り立たない”
ということだ。
そこさえ勘違いしなければOKだと思う。
以下は個人的なアドヴァイス。
- 遊んだことのあるシナリオの、リサーチフェイズ部分を読んでみると、だいたいどんな感じで書けばいいか把握出来るのではないか
- 適正なシーン数に関しても『ストレイライト』のP133に書いてあるので、読んでみて欲しい
- まずは失敗を怖れずに書いてみること。一度遊んでからプレイヤーたちにアドヴァイスを貰いつつ手直しをするのは非常に有効だ
- キャストの合流やモチベーションを高めるためにイベントシーンを挿入するのはいい手段だ。キャスト全員分用意するのは大変だろうから、とりあえずは「より主人公的な正確の強いキャスト」に対して用意しておくといいだろう
- その場合、他のキャストも登場できるような仕組みだといいかもしれない
- ルーラーシーンを挿入して、「一方その頃……」的な演出を挟むのもいいアクセントになる。意図もないのに多用するのはあまりよろしくないが
- ルーラーシーンに関しては、やはり『ストレイライト』の「ルーラー講座」P129を読むといいだろう
こんなところかな?
「リサーチフェイズをどうすれば上手く書けるか&回せるか」というのは自分も命題としているところなので、これらの内容は個人的なメモの域を出ていない。
なので、役に立たないようだとちょっと申し訳ないのだが。